“自粛疲れ”のその症状、「リーキーガット症候群」かも…ホットケーキミックスに潜む危険
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために外出自粛が要請されていることで、家にいる時間に料理をする人が増えている。SNSに「#おうち時間」というハッシュタグを付けて料理の写真を投稿する人も多い。特に、子供でも気軽につくれるホットケーキミックスを使ったレシピが人気で、店頭やネット通販でも売り切れが出るほどだ。
しかし、外出自粛が長期化するなか、楽しむための料理であっても健康面に配慮する必要がある。自粛が終了した時、元気に活動を再開できるよう、気をつけるべき点を伝えたい。
ホットケーキミックスといえば、小麦を含むことは言うまでもない。小麦にはグルテンが豊富だ。しかし、グルテンは腸に炎症を起こし、炎症は腸の透過性を高める。その結果、本来の腸の機能が低下する。普段、腸は体に良いものと悪いものを識別して吸収・排除するバリアのような働きをするが、腸の透過性が高まると、その識別がうまくできなくなり、不要なものや有害なものまで腸から吸収されてしまい、免疫機能の低下などを招く。近年、注目されている「リーキーガット症候群」が、まさにこの状態である。
リーキーガット症候群に詳しい一般社団法人予防医療研究協会理事長の苅部淳医師は、こう話す。
「リーキーガットとは、腸壁のバリアが破綻して腸内の異物が体内に侵入してしまうことをいいます。症状としては、全身倦怠感、腹痛、ニキビ・アトピー、うつや不眠などが挙げられます」
“自粛疲れ”と感じている症状が、実はリッキーガット症候群だったということもあり得る。パンや小麦を含む加工食品には、多くの添加物が入っていることは広く知られているが、多くの人が食べ続けてしまうのは、ある意味で依存ともいえる。グルテンには依存症状を招くとの報告もあるのだ。
グルテン依存症
パンや加工食品から摂取したグルテンは、体内で分解され「エクソルフィン」という物質に変わることが解明されている。このエクソルフィンにはモルヒネなどの麻薬に類似した性質があり、さらに脳へと移行し、麻薬の受容体であるオピオイド受容体に結合する。そうすると脳は多幸感を感じるため、次第にグルテンを含む食品に依存を示すようになる。また、依存だけでなくうつ病や統合失調症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、記憶・認知障害などにもグルテンの摂取が影響するという見解もあり、グルテンは控えるべき成分といえるだろう。
「原因となる食事は、ジャンクフードや加工食品など抗生剤入りの食べ物が挙げられます。できるだけ野菜を中心とした健康的な食品を食べてください」(苅部医師)
食事については苅部医師のアドバイス通りだが、食習慣の改善は簡単ではないのが現実だろう。しかし、食事を和食にシフトするだけで、グルテンの摂取量は減らすことができる。まずは、できることから変えていくことが重要だ。目下、大流行しているホットケーキミックスは、米粉で代替することもできる。自粛期間が終わり、健康で新たなスタートを切ることができるよう、グルテンの取りすぎにはくれぐれも注意してほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)