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在宅勤務で夫or妻にイライラ問題、具合的な解消法…会社に行かないメリットを列挙せよ

文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表
在宅勤務で夫or妻にイライラ問題、具合的な解消法…会社に行かないメリットを列挙せよの画像2
「Getty Images」より

 緊急事態宣言が出て皆様が外出を自粛するなか、仕事は在宅テレワーク、夕食も家族と一緒に、という方が増えています。でも、いつもは残業・飲み会で帰宅の遅い男性の方々、なぜかちょっと肩身が狭い感じを抱かれていませんか。

 ご存じの通り、定年後いつも家にいる夫と暮らすことでイライラし、果てにうつ病になってしまうという「夫源病」を経験するご夫婦がいらっしゃいます。また産業医としての私の経験では、夫が家に長くいた年末・正月休暇が終わると、奥様のメンタル不調が増加することがあるのです。

 急に夫が在宅勤務となり、朝から晩までいつも側に居る、昼食も支度をしなくてはならないし、何かと用事を言いつけられる。これまさに定年後のご夫婦に近い状態。こんな問題が生じている家庭が多いと聞きました。

 私は産業医として通常は企業を訪問し面談していますが、現在はすべて在宅でリモート対応となりました。面談する相手の社員も在宅勤務中の人がほとんど、SkypeやZoomを使用しての面談をしています。

 そのなかのエピソードを紹介してみましょう(もちろん個人が特定されないよう改変しています)。皆さん心当たりはありませんか。

・38歳女性

 在宅勤務がメインとなって1週間。夫も在宅勤務中。朝食の片づけをしてから9時からPCを立ち上げ仕事を開始。その間に洗濯機を回して家事。昼食は一人なら適当に済ますが、夫がいるので一応何かつくらなくてはならない。せっかく仕事が乗ってきたのに、と思いながら昼食をつくり食べる。

 その間ワイドショーをテレビで観るが、今日も新型コロナの話題に終始する。昨日の感染者が増えた話、休業しなくてはならない人の話など暗いニュースが多く、ついつい気になってしまう。

 午後の仕事に入るが、居場所がないので居間で仕事、でも夫がウロウロ動くたびに気が散る。夕方仕事が終わってみると、自分も夫も一歩も外に出ていない。こんな日がもう1週間続いている。自宅のPCは小さなノートのため肩こり、腰痛がひどくなった気もする。そして何より気になるのはついつい間食が増えてしまい、体重も増えたよう。「今度会社行くときにスーツが入らないかも」と思うと、またまた落ち込む。

ストレスをため込む

 コロナによるストレスから、欧米ではドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)が増えているいうニュースもあります。普段の昼間は一緒にいることのない夫婦が、四六時中一緒にいることでストレスが溜まるのでしょうか。ついついイライラで物を投げたり暴言を吐いたり。

 物理的に狭い空間にいることのストレスに加え、テレビをつければコロナの話、休業を余儀なくされたり、失業した人々の話。

 女性は脳の構造から、物事を理解するとともに感性で共感する傾向があり、引き込まれやすいのです。さらに「テレビを見る時間が長いと、うつになる確率が上がる」というアメリカの大学の研究もあります。その要因として、テレビをだらだらと観ることがメンタルヘルスへ悪影響を与えることが挙げられます。悲劇的な事故などを紹介するワイドショーを見る時間が長いと不安を増長し、心が不安定になりやすいといえるのです

リフレーミング

 新型コロナは恐ろしい感染症です。当初、人から人への感染はないと発表されていたことを思い出すと、なんとも腹立たしいほどの予想を上回る猛威を振るっています。たくさんの命を奪っており、「明日は我が身」の意識はもちろん大切です。

 しかし、です。そればかり考えていては、心が滅入ってしまいます。「感染を恐れ最大限気を付けること」と「できる範囲で楽しむ」ことを、両立させなくては長丁場になりそうなこのコロナ危機は乗り越えられません。まず、今の制限の中でできることを考えて整理してみましょう。

 在宅勤務ですし、普段の「付き合い」でなんとなくの外出や、飲み会の予定はなくなりましたので、時間に余裕ができた人が多いと思います。そんな今だからこそできることは、結構あるはずです。

 すべての物事にはメリットとデメリットがあります。人間はサバイバル・ベネフィットといって、ネガティブなことに目が向くようにできています。本能のようなもので、危機に対して敏感になることでヒトは原始時代から生き残ってきたのです。しかし今は、人と会わないだけで自身は守れます。過剰にデメリットだけに目を向けず、在宅勤務のメリットを自分なりに挙げてみましょう。

「家族との時間が増えた」

「自分で時間管理ができる分、効率よく仕事が進む」

「無駄な会議が減って仕事が進む」

「気が合わない上司の視線を気にせず仕事ができる」

などなど。ほら、悪い話ばかりではないですよね。

 先ほどイライラからドメスティック・バイオレンスが増えていると書きましたが、実はその裏では、普段仕事が忙しくて顔を合わせることができない夫婦にとっては、二人の時間が増えるメリットもあるはずです。

 1977年にニューヨークでは落雷による大規模停電に見舞われ、復旧に手間取り3日間も停電が続き生活は大混乱。でもなぜかその9カ月後にはベビーブームが――なんて話、聞いたことありませんか。私の担当した社員も、メンタルで休職中に子供が授かった、なんてことは案外多いものです。

 新型コロナでのテレワークを、前向きな気持ちで乗り越えて行ければよいですね。

(文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表)

矢島新子/産業医

矢島新子/産業医

矢島新子
山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。
株式会社ドクターズヘルスケア

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