ドローンの落下事故が相次いだことから、今国会でドローン規制法案が成立する見通しですが、規制がなくても不意なる落下での他人の家を壊したり、ケガさせたりすることは避けたいものです。人の足では得られない魅力を得られるドローンだからこそ、快適に楽しむために、もしもに備えた対策をとっておきましょう。
「飛行途中でバッテリーが切れて落下した!」など、自分のドローンが原因で他人の物を壊したり、人をケガさせたりしたときには、法律上の賠償責任が発生します。そんなときに頼りになるのが、「個人賠償責任保険」です。
個人賠償責任保険は、日常生活において、他人の物を壊したときの弁償費用や、他人をケガさせたりしたときの治療費などの賠償責任費用を補償してくれる保険です。
つまり、趣味や遊びなどでドローンを飛ばしていて、他人の家に落下して家を壊してしまったり、落下したドローンが他人をケガさせたりした場合にも、個人賠償責任保険に加入していれば、法律上の賠償責任は保険でカバーできるのです。
この個人賠償責任保険は、日常生活全般を補償してくれるので、下記のようなときにも威力を発揮します。通常は、家族の誰か1人が加入していれば家族全員が補償される心強い味方なのです。
・自転車で他人にケガをさせた
・買い物をしていて商品を壊した
・飼い犬が他人にかみついてケガをさせた
・子どもが投げたおもちゃが他人に当たってケガをさせた
・車の横を通り過ぎるときに、バッグの金具で他人の車を傷つけた
・ベランダの鉢植えが落下して、通行人にケガをさせた
保険会社の選び方
ただし、仕事で使っているドローンが事故を起こした場合は、個人賠償責任保険の範囲外です。事業用としてドローンを取り扱っている場合は、損害保険会社の「動産総合保険」と「施設賠償責任保険」でカバーします。
動産総合保険とは、着陸に失敗した場合など、予想外の突発的な事故によってドローンを壊してしまったり、盗難に遭った場合の修理費用や買い替え費用(時価)を補ってくれる保険です。また、施設賠償責任保険とは、他人の物を壊したり、他人をケガさせたりした場合に、法律上の損害賠償金などを補う保険です。
最近では業務用のドローン保険なども登場しています。それだけ、これからの市場規模の拡大と事故の増加が見込まれるということなのかもしれません。
本題に戻りますが、ドローンを飛ばすのなら、必ず個人賠償責任保険に加入しておくことです。そして、個人賠償責任保険に加入する際は、「保険金額が1億円以上」であることと、「被害者との示談交渉サービスがある」保険会社を選びましょう。
示談サービスがついていないと、保険金は出るけれど、被害者とのお金の交渉は加害者である自分がしなければなりません。
加害者になったときの経済的な負担と精神的な負担の両方を軽くするためにも、もしもの時の個人賠償責任保険の加入を忘れないでください。個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険などにつけることができます。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)
●前野彩
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士をはじめ、NPO法人金融知力普及協会インストラクター、一種証券外務員など、数多くの資格を持ち、マネーに関するセミナー・講演を各地でこなし、各種メディアへの出演実績があり、『本気で家計を変えたいあなたへ』『ズボラでも大丈夫!書き込み式 一生役立つお金のキホン』『書けばわかる!子育てファミリーのハッピーマネープラン』(いずれも日本経済新聞出版社)ほか著書も多数。株式会社Cras代表取締役。FPオフィスwill代表。