その答えを見つけるためには、大きな相場となった03年、05年になぜ彼らが買ってくれたのかを振り返ればいいでしょう。
03年5月、小泉政権下において、りそな銀行は国有化されました。これによって経済政策が「淘汰」から「再生」に転換しました。05年には“小泉”自民党が郵政選挙で大勝、構造改革への期待が高まりました。
つまり、外国人投資家の買いが膨らむ条件は、「政策転換」「構造改革」など政策への「期待」が高まることといっていいでしょう。
そう、今回、有効な経済政策を打てなかった民主党政権が終わり、「デフレ克服」「経済再生」を掲げた自民党の安倍政権がスタート、はっきりと政策転換が見えてきました。03年の転換相場と似た環境になってきたのです。
同年、日経平均は安値から約6割上がりました。つまり現在の水準に当てはめてみますと1万3000円台まで上がるということになります。ちなみに、金融危機の震源地である欧米株は、すでに08年のリーマン・ショック前の水準まで戻っています。となると、日経平均はリーマン前の1万4000円台まで持ち直す……。そんな勇ましい目標数字が出てきてしまいます。
●来年夏には参議院選挙も焦点に
しかも、来年夏には参議院選挙があります。
仮にまた自民党が勝ち、参議院のねじれが解消したとしたら、郵政選挙の大勝で構造改革期待が高まり、03年と同じように安値から約6割上げた05年型の相場も加わる可能性も出てきます。
もちろん、相場の世界では期待のし過ぎは失敗する最大の要因ですので、甘い見通しは禁物ですが、少なくとも、数年ぶりに訪れた転換相場であることは、おわかりいただけたかと思います。
ただ、短期的には上げピッチが速く、投資指標にも過熱感が出ていますし、安倍政権も現実問題として「財政の崖」ならぬ「デフレの壁」にぶち当たることもありましょうから、年明け1月中旬~下旬頃から調整局面に入っていくのではと見ています。
いずれにしろ、来年は久々に“わくわく感”のある相場になってくれる可能性が高そうです。
(文=岡本昌巳/経済ライター)