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投資信託「ほったらかし投資」で無理なく2千万円貯める方法…コアサテライト戦略を使え

文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役
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「Getty Images」より

 数十年の長期間にわたって、積立で少しずつ投資信託を買うだけの「ほったらかし投資」。忙しくてもズボラでも続けられる投資でありながら、実は「長期」「積立」「分散」という、王道をしっかりと押さえた本格的な投資法なのです。

 そんなほったらかし投資で購入する投資信託は、自分の取れるリスクと目標額を考えてうまく組み合わせることが大切。その選び方を確認しておきましょう。

自分が取れるリスクを見極めよう

 投資の世界でいう“リスク”とは、「危険性」のことではなく「リターンのブレ幅」のこと。リスクとリターンは比例の関係があります。リスクが大きいほど、大きく儲かる可能性も損する可能性もある、というわけです。

 もし、損をしてしまった場合、どのくらいまでなら耐えられるかを表す度合いのことを「リスク許容度」といいます。リスク許容度は一般的に、収入・資産・年齢・運用期間・投資経験などによって変わります。

 たとえば、同じ50万円を投資するにしても、収入や資産の少ない人にとっては勇気がいるかもしれませんが、多い人にとってはさほど負担に感じないかもしれません。このとき、収入や資産の少ない人のリスク許容度は低く、逆に多い人のリスク許容度は高いといえるでしょう。同様に、年齢が若いほど、運用期間が長いほど、投資経験が多いほど、リスク許容度は高いといえます。

 また、これから控えるライフイベントによってもリスク許容度は変わります。

 人生には出費の重なる年代やタイミングがあります。特に住居費用・教育費用・老後費用の3つは、“人生の三大出費”と呼ばれ、数千万円単位のお金がかかります。こうした出費があるのに、大きなリスクを取って資産を減らしてしまえば、それらのライフイベントにお金をかけられなくなるおそれがあります。

 投資信託は、リスク許容度を考えた上で、自分が取れるリスクを見極めて運用することが重要です。とはいえ、リスクの高い商品にはそれなりの魅力があるもの。せっかく投資で増やしたいと思ったのであれば、躊躇せず攻めの姿勢で臨んでもいいでしょう。

目標金額と投資期間が決まれば月々の投資金額がわかる

 次に考えていただきたいのが、投資の目標です。みなさんは、なんのために、いくら貯めたいと思っているのでしょう。「なんとなくお金を増やしたい」という人もいるかもしれませんが、ほったらかし投資を成功させるには、モチベーションを維持するための目標をつくることが大事です。

 そこで、まずはなんのためにいくら貯めるのか、目標金額を決めることから始めましょう。ライフイベントのためでももちろんいいですし、「○○が欲しい」「旅行に行きたい」などでも結構です。

 次に、目標金額を達成するまでの投資期間を決めましょう。10年後、20年後など、具体的であればあるほど、達成に近づくことができるでしょう。

 目標金額と投資期間が決まったら、どのくらいの投資金額・運用利回りでその目標金額が達成できるのかを確認してみましょう。簡単に計算するための速算表を紹介します。

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 たとえば、目標金額が2000万円、投資期間が25年間だとします。仮に年4%の運用利回りが得られたとした場合、必要になる月々の投資金額は、目標金額をこの表の「25年」と「4%」が合わさったところにある数値(514.13)で割った金額(税金は考慮せず)になります。この例の場合、

2000万円÷514.13=約3万8900円

とわかります。月約3万8900円ずつ25年間投資して、運用利回りが4%ならば、目標金額の2000万円に到達する、というわけです。

 運用利回りを上げるか年数を増やすと、毎月の投資金額は減ります。逆に、運用利回りを下げるか年数を減らすと、毎月の投資金額は増えます。これを生かして、投資金額を調整してみてもいいでしょう。

 投資は、元本が多ければ多いほど、効果が高まります。ただ、投資には元本保証がありません。そのため、投資に回すお金は、病気や失業時に備えた緊急予備資金(目安は給料の約6カ月分)を残したうえで、それ以外の“当面使う予定のないお金”から出すようにしましょう。

自分のポートフォリオをつくろう

 ほったらかし投資で買う投資信託は、組み入れている資産の種類や国・地域別に分類されます。たとえば、国内株式、国内債券、国内不動産、外国株式、外国債券、外国不動産という具合です。一般的に、「外国→国内」「株式→不動産→債券」の順でリスクが高いとされています。

 だからといって、できるだけ儲けたいからと外国株式の投資信託ばかり買うと、リスクが大きくなりすぎてしまいます。

 そこで考えておきたいのが、ポートフォリオです。ポートフォリオとは、「保有資産の組み合わせ」のこと。資産運用をする際は、自分に合ったポートフォリオをつくることが大切です。なぜなら、ポートフォリオの組み合わせ次第で、ローリスクにもハイリスクにもなり、期待できるリターンも異なるためです。

 ここで、先述したリスク許容度や目標金額が大切になってきます。自分のリスク許容度を踏まえた上で、目標金額を達成するために、どのようなポートフォリオをつくるかが大切になってくる、というわけです。

 投資信託はもともと分散投資されている商品ですが、それを複数持つことで、さらに分散投資の効果を高めることにもつながります。

コアサテライト戦略で守りながら増やす

 ここまでは投資信託のポートフォリオを考えてきましたが、もっと広く、資産全体のポートフォリオを考える際に有効なのが「コアサテライト戦略」です。機関投資家と呼ばれる銀行や保険会社などが用いる手法ですが、個人でも応用可能です。

 コアサテライト戦略は、運用資産全体を「コア」と「サテライト」に分け、それぞれの運用商品を変える戦略です。

 運用資産の7~9割、大部分はコアにします。コアは価格変動の少ない安定的な商品で構成します。投資信託ではインデックス型やバランス型のものが該当します。また、現金、普通預金、定期預金、個人向け国債、純金積立などもコアに入ります。

 それに対し、運用資産の1~3割はサテライトです。こちらは多少冒険できる商品を組み入れていきます。投資信託ならアクティブ型が該当します。その他、国内外の株式、FX(外国為替証拠金取引)、暗号資産(仮想通貨)などもあってもいいかもしれません。コアの部分で安定運用しているので、サテライトでは楽しみながら投資をするというスタンスでOKです。

 こうすることで、コア部分で安定運用をしながら、サテライト部分で大きく増やすことが期待できます。

 ほったらかし投資で大切なのは、時間を味方につけることです。今からスタートしてお金を育てていけば、やがて大きな実りがあるでしょう。ぜひ、投資家デビューしてください。
(文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役)

頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力すると同時に、月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha』や登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

Twitter:@@yorifujitaiki

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