年収1千万でも貯蓄ゼロ、年収7百万でも貯蓄3千万の人の習慣…年収と貯蓄は無関係
月の生活費は思っているよりかなり多い
自分の満足感に応じ、項目ごとに支出金額はメリハリをつけたいが、金額の目安として平均値を知っておくことは有効だろう。総務省統計局の「家計調査報告(平成27年平均速報結果)」で、2人以上の世帯で世帯主年齢40歳未満の世帯の消費支出(社会保険料や税金、貯蓄型の保険料などを含まない支出額)を見てみよう。
住宅費は持ち家と賃貸、あるいは2世帯同居などで費用が大きく異なり、教育費も子どもの人数や年齢、学校が公立か私立かで大きく異なる。個々の家庭と比較しても有効とはいえないため、住宅費と教育費を除いて参考にするのがよいだろう。消費支出からこの2項目を除いた金額は、約23万円である。23万円は意外に多いと感じる人が多いのではないだろうか。
相談のときにお客様に聞くと、住宅費と教育費を除いた生活費は10万円代と答えるご夫婦がもっとも多い。その後いくつかの方法により実際の金額を調べると、お客様が思っていたより2~4割多いということがほとんどである。特に共稼ぎ夫婦であれば40万円代も珍しくない。生活費の正確な把握は困難であり、思っている以上の金額を使っているという認識を持ったほうがよい。
あなたがもっと貯蓄を増やしたいと思うのであれば、資産運用で増やすことを考える前に、まずは2~3カ月だけ、スマホアプリなどを活用してすべての支出を記録してみよう。記録すること自体は貯蓄を増やしてくれないが、支出の仕方をどのように変えたらよいのか、年間でいくら貯蓄が可能なのかを明確にするための出発点となる。
もし生活費が多いことがわかったとしても、がっかりすることはない。支出を変えて貯蓄を劇的に増やす余地があるということだ。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)