大学進学時に3百万円…子どもの教育費が足りない!賢い対処法はこれだ!贈与や免除も
(1)祖父母から孫への「教育資金の一括贈与」を利用する
平成25年4月1日以降、30歳未満の子や孫が、父母や祖父母などの直系尊属から教育資金を一括して贈与を受けた場合、1500万円まで(学校等以外に支払う分は500万円が限度)贈与税が非課税となる制度がスタートしている。
この特例を利用せず、通常の暦年贈与で1500万円を贈与すると、贈与税額は366万円かかる。ちなみに計算式は次のとおり。
・(1500万円-110万円<基礎控除額>)×40%(特例税率)-190万円(控除額)
それが、この特例を利用すれば、贈与税はかからない。
この方法のメリットは、まとまった金額を一度に子や孫など次世代に移転させることができる点だ。
平成28年12月に国税庁が公表した平成27年分相続税の申告状況によると、27年中に亡くなった人(被相続人)のうち、相続税の課税対象となった被相続人の割合は8.0%(平成26年:4.4%)と大幅に増加している。つまり、相続税がかかるのは、これまで100人に4人だったのが、8人に倍増したというわけだ。
その原因は、平成27年1月以後の相続等から基礎控除額の引き下げ等が行われ、課税が強化されたことにある。
そこで、財産をある程度保有している両親が高齢で、相続発生まであまり時間がない場合など、早く財産を減らしたいのであれば、この方法は効果的だろう。もちろん受贈者も、援助が受けられれば、ありがたいの一言に尽きる。
信託協会がまとめた「教育資金贈与信託に関する受益者向けアンケート調査」(平成26年7月)によると、利用者の9割以上が、この特例によって「教育費に係る負担が軽減された」「将来の選択肢が広がった」と回答しており、その使いみちは8割以上が「大学等の学費」だった(図表参照)。
ただし、この特例は期間限定で、利用できるのは平成31年3月31日まで。また、教育費が足りないからと子どもに懇願され、孫に一括贈与した後に、急な病気や介護、家のリフォームなど、贈与者である親の老後資金が不足してしまう可能性もゼロではない。あるいは、長男の子どもに一括贈与したら、他の子どもたちから文句が出て、家族仲が険悪になり“争族”になったというケースもある。
そもそも、保有財産が相続税がかからない程度であれば、この特例を利用せず、暦年贈与や都度贈与でも十分という場合もある。利用する場合は、受贈者はどれくらい費用が必要なのか、贈与者の生活の将来的見通しはどうか、他の親族間で不公平感が出ないかなど、さまざまな観点から検討してみることが重要だ。