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高齢世帯、毎月5.4万円の赤字…50代の「お金の使い方」が老後難民化を防ぐ

構成=長井雄一朗/ライター
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貯金1億円でも「不安で寝られない」

――得丸所長は、以前は日本生命保険に勤めていてファイナンシャル・プランナー(FP)でもいらっしゃいますね。

得丸 相談業務を行っていたとき、70代中盤のおばあちゃんが息子さんと一緒に相談に来たことがあります。内容は「貯金が減っていくので夜も寝られない」というものでした。そこで「失礼ですが、預金残高はおいくらですか」と聞いたところ、「およそ1億です」との答えでした。「70代中盤で1億円あれば使い切れないだろう」と思いますが、このとき私は「持っている金額が大きくても、減っていく不安はあるのだな」と思いました。内心、おばあちゃんに「もっと使いましょうよ。どうせ使い切れませんよ」と言いたかったですが、金融資産が減少していくにしたがって心理的不安が生まれるのです。

 そういう意味では、定年後の再雇用は年金受給前に定期収入を確保することになり、退職金の目減りも防ぐことができるため、精神的な余裕にもつながります。いわば会社員の特典ともいえる制度です。

――研修プログラムの「100年マネープラン」というのは、どういう内容でしょうか。

得丸 プログラムの執筆・監修を行っているFPの浅井秀一氏は、「お金は使われて初めて価値が生まれる」と強調しています。たとえば、1万円を使って温泉宿で過ごすと、「大満足」という人がいる一方で「まったくダメだった」という人もいます。お金の役割や価値を見いだすのは自分自身なのです。そのため、いつどこでどのようにお金を使うのかをプランニングすることは非常に大事です。

 30~40代のマネープランはシンプルで、「とにかく貯めてください」という一点に尽きます。しかし、50代になると「自分の将来のためにどのように使うか」という観点が必要になってきます。

――65歳以降になると、年金収入が中心になりますが。

得丸 総務省の「家計調査年報(2017年)」によると、「高齢夫婦無職世帯」(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ)の1カ月の収支は約5.4万円の赤字です。収入の多くは公的年金ですから、「年金収入だけでの生活は厳しい」という話は、これが根拠になっているのではないでしょうか。しかし、これはフローの部分だけを見ているにすぎず、ストックの部分を考えていません。簡単に言えば、フローとして毎月5.4万円の赤字があれば不安になるのは当たり前ですが、それ相応のストックがあれば問題ありません。

 50代にアドバイスするとしたら、60歳で定年、つまり定期収入が終わりを迎えますが、その時点でマネープランを練る必要があります。老後のための貯金や退職金がいくらあるか、60歳からの収入はどのくらいになりそうか。「このままでは生活が厳しい」となれば、能力を磨いて収入を増やしたり固定支出を削ったりすることが必要です。自分のライフプランに合った個別の戦略が大切になってきます。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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