親と同居すると、支払う税金が安くなる?
夫婦共働きで一緒に親を扶養している場合
夫婦共働きの場合で、かつ両親を扶養している場合には、どちらから扶養控除することができるのでしょうか。両親を扶養している状態であれば、夫婦どちらでも扶養控除を適用することができますが、収入の多いほうに扶養控除を適用するとお得になります。所得税は所得が多ければ多いほど税率が高くなります。そのため、一般的には収入が多いほうに扶養控除を適用すると良いでしょう。
ただし、所得の多いほうに扶養控除以外に適用できる所得控除が多くある場合や、夫婦の収入に大きく差がない場合には、扶養親族が複数いれば夫婦に分散させて扶養控除を適用するというのも一つの方法です。
扶養控除は年末調整で
一般的な会社員の場合、勤め先が税金計算をする年末調整で扶養控除の手続きをすることができます。
勤め先から年に1回、上記のような扶養控除等申告書という用紙が配られます。この用紙の赤枠部分が扶養親族に関する情報(名前や生年月日など)を記載する箇所なので、ここに扶養している親族の名前などを記載しましょう。そして、この扶養控除等申告書を勤め先に提出すれば手続き完了です。勤め先が代わりに所得税の税金計算をして手続きをしてくれます。また、住民税についてもそのまま自動的に計算されますので、この用紙を正確に記載して、勤め先に提出しさえすれば、手続き完了です。
なお、過去の年末調整で申請を誤っていたり、申請が漏れていた場合でも、過去5年以内であれば遡って申告することができますので、あきらめずに手続きをしてみてください。会社員の場合は、年末調整で一度税金を納めているので、確定申告をして税金を還付してもらうことになります。
確定申告する場合には、扶養控除を適用する年分の源泉徴収票を用意してください。その源泉徴収票をもとに給与収入や給与所得などの金額を確定申告書に記入して、所得控除の欄には扶養控除の金額を記載して所得税を計算し申告することになります。還付される銀行口座の記載箇所がありますので、口座情報を記載しておくと後日還付される税金が振り込まれることとなります。
亮子「今回、扶養という言葉が出てきたけれど、年金制度における扶養とは要件が異なるから注意が必要だね」
啓子「民法でも扶養という言葉が出てきますが、それぞれがどのような意味で使われているのか、気をつけないといけません。今回は、税務上の扶養控除について解説しました」
亮子「控除自体は、それほど大きいとはいえないかもしれないけれど、要件に当てはまるなら、しっかりと控除しておいて損はないよね」
啓子「はい。税金が軽減されるのであれば、適用しない理由はありません。次回解説する小規模宅地等の特例は影響額がもっと大きくなる可能性がありますから、併せて知っておいてほしいです!」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)