「時給5万円」の仕事ができる人、単なる「働きアリ」で終わる人
2016年に政府が「働き方改革」を打ち出して以来、ビジネスパーソンの間にも少しずつ「自分の働き方を見直し、もっと生産性の高い仕事をしよう」という動きが出てきているのではないか。
テクノロジーの発展に伴い、将来を予測しにくい時代に私たちは生きている。寿命がさらに延びるといわれるなかで、常に社会から求められる人材になるにはどうすればいいのだろうか。
本連載「働きアリから脱出せよ!」第4回では、仕事の生産性を上げ、会社に縛られずに「稼げる人」になるための個人向け働き方改革の方法を伝授する『働きアリからの脱出』(集英社)の著者でクロスリバー代表取締役の越川慎司氏に、働く人からの「仕事・人生の悩み」についてお答えいただいた。
越川氏は、国内大手および外資系の通信会社などに勤務し、05年に米マイクロソフトに入社。業務執行役員としてOffice事業部を統括し、17年に働き方改革を支援する株式会社クロスリバーを設立。調査やヒアリングなどを実施しながら、18年11月時点で527社の働き方改革を支援してきた。また、自身も週休3日の働き方を実践している、働き方改革のプロフェッショナルだ。
連載最終回となる今回は、ビジネスパーソンにとっての“曲がり角”ともいえる30代、40代の2人の悩みに答えてもらった。
「将来につながる副業」とは?
Q.今の会社に勤めて9年ほどたちますが、年収の上がりが鈍く、夫婦で共働きをしています。ちょうど今、2人で子どもがほしいと考えており、今後妻が仕事を変えるとなると、自分の年収を上げておく必要が出てきます。私の会社では副業がOKなので検討していますが、将来につながる副業のやり方を教えていただけますか。(31歳・男性・一般職<既婚>)
越川 まずは、会社として許可しているのであればぜひ副業にチャレンジしてほしいですね。政府も副業を禁止しないことを基本線に就業規則をつくりなさいということでガイドラインを改訂するそうですから、今はチャンスといえます。
ただ、問題なのはどういう副業をするかです。言葉を選ばずにいえば、睡眠時間を削って稼ぐような副業ならばやめたほうがいいでしょう。長く続けることはできませんし、本業にも支障をきたします。そうなると、短い時間でいかに収入を増やせるかということになります。
ここで考えるべきは「自分の蓄えたスキルや経験を、どう高い時給でお金に換算できるのか」ということ。本にも書いていますが、「スポットコンサル」という、個人が空いた時間で自分の知見を使ってアドバイスするビジネスがあります。そこでは、時給5000円、なかには「1時間で5万円を払ってでも話を聞きたい」という人が出てくる知見もあるんですね。自分が蓄えた知見がどのくらいの市場価値があるのかを可視化しやすくなるので、まずは自分の持っている能力がいくらの時給になるのか、試してみてもいいのかもしれません。
また、実際に始めてみると、時給5万円になるために何が必要なのかが見えてきます。どういうスキルを身に付け、勉強し、何を経験すればいいのか。その道筋が見えてくるということは大きいかもしれないですね。いきなり時給5万円の仕事はできなくても、半年後、1年後であれば可能かもしれませんから、チャレンジしてみると実りが大きいはずです。