不動産価格は時とともに変動する。その価格の変動幅がもっとも大きいのが新築マンションだ。まずは、価格の構成を理解する必要がある。
新築マンション価格=土地価格+建物価格+粗利益で決定される。このように足し上げるので「積算価格」という。建築単価は資材費用や工賃が変動することで動く。粗利益は用地取得時に一定の率を想定している。一番大きく変動するのが、土地価格になる。
マンション用地は、敷地の大きさや形状、そこで建てられる建物ボリュームの大きさが求められるため、個人の戸建用地とは比較にならない稀少性がある。通常は入札の形で売却され、入札に参加する事業者が増えると、価格はうなぎのぼりに上がっていく。
マンションの売れ行きが悪くなる理由
事業者であるマンションデベロッパーは、専業の場合、一定量の用地仕入れをしていないと倒産してしまう事業構造になっている。人件費などの固定費をまかなう売り上げは、分譲したマンションの利益しかない。いわゆる自転車操業だ。このため、用地が仕入れられないと「お腹がすいた」といい、十分に仕入れていると「お腹いっぱい」などという。
事業者が増えてくると、「お腹がすいた」デベロッパーが増える。そうすると、無理をしてでも用地を買いにいく。時期によって土地価格が倍以上変化するのは、ざらにある話だ。
しかし、こうして仕入れた土地を売る段になると、積算価格で売れるとは限らない。購入者が買える価格を市場価格とすると、積算価格が市場価格より高くなってしまうと売れ行きが悪くなり、在庫が積み上がる。現在はこの状況に近い。売れ残りが多い場合には、価格を下げて利益幅を切り崩していく。そんなことをしても売れ残った場合には返済ができなくなり、倒産してしまう。
適正な価格を見極める方法
では、市場価格は何で判断するかというと、中古の取引価格となる。中古マンションは売主も買主も個人同士になる。こうなると、お互いが妥結する市場価格をつけることになる。実際に売れている価格が中古の取引価格となるので、ここから新築で売れそうな価格を設定すればいい。
こうして算出した価格を「沖式新築時価」と呼び、筆者主宰の「住まいサーフィン」【※1】という無料会員制サイトで公開している。会員数が24万人を超えているので、マンションを購入するときに参照する人は多い。
積算価格である新築価格と市場価格である沖式新築時価は、ある程度連動する。購入予定者の一定割合が新築と中古の両方を検討していることから、新築価格が上がれば中古価格は上がるのだ。しかし、新築が高くなりすぎると、購入予定者は新築から中古に流れ、新築の売れ行きが鈍り出すことになる。
現在の新築は“買い”か?
現在、マンション用地はほぼ買えない状況になっている。それは、同じ立地を求めるホテルやオフィスのほうが採算がいいからだ。ホテルはインバウンドの外国人需要があり、民泊を規制してしまったがために単価が上がり、稼働率も高くなっている。オフィスも、長く景気が堅調で稼働率が上がり、大規模ビルの建て替えで賃料単価が上がっている。
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