28日、安倍晋三首相が辞任するとメディアが一斉に伝えた。安倍首相は同日17時から会見を行い、政府の新型コロナウイルス感染拡大への対応策と自身の体調について説明する予定だったが、会見直前で辞任が公になった。
安倍首相は今月17日、24日に2週にわたり慶応大病院を訪れ、通常の検診だと発表されていた。
「特に今月に入り自民党関係者の間では、明らかに安倍首相の顔色や足取りが悪く、気力を失っているという話が広まっており、2週連続の検診で一時は辞任説も流れていました。マスコミの政治記者たちも情報集めに奔走していましたが、どの社も本当の病状や進退に関する首相の意向をつかめず、昨日の段階では“続投”という空気でした」(全国紙記者)
「昨日の夕方、ブルームバーグが菅義偉官房長官へのインタビュー記事を配信し、菅長官は安倍首相の続投を断言した。マスコミの間では“外電を使って辞任説を打ち消した”と受け止められ、これで続投が固まったとみられていた。
安倍首相の病状と進退については、麻生太郎財務相兼副総理、今井尚哉首相補佐官、昭恵夫人、実母の洋子さんの4人にしか伝えられていなかった模様。今回は最後まで情報が漏れなかった。もしくは、今日昼の麻生さんとの2人きりの会談時点まで、ギリギリまで迷っていた可能性もある」(別の全国紙記者)
安倍首相といえば第1次政権時の2007年、持病の潰瘍性大腸炎が悪化して入院し、退陣した経緯があるが、コロナ対応や7月の豪雨災害への対応などが重なり、1月から今月15日まで連続勤務が続いていたため、体調を心配する声もあった。
「安倍政権の大きな危機といえば、森友問題、桜を見る会の問題ですが、どちらも原因をつくったのは安倍首相夫人の昭恵さんです。政府のコロナ対応が批判を浴びている最中にも、外出自粛下での昭恵さんのお花見パーティーや県外への団体旅行が発覚するなど、そのたびに首相は批判の矢面に立たされてきた。そのため、首相官邸は昭恵さんを政権の大きなリスクとみて、常に情報収集やメディア対策に負われてきた。そんな首相夫人は、歴代内閣で初めてでしょう。
安倍首相の持病は精神的肉体的なストレスとも関係する病気ですが、昭恵さんの起こしたさまざまな問題をめぐる苦悩や対応が、首相の体にダメージを与えたという見方も強いです」(全国紙記者)
麻生財務相との会談
実際、辞任発表前、自民党関係者からはこんな声も出ていたという。
「もし体調悪化で安倍さんが辞任ともなれば、昭恵さんのせいですよ。彼女がいなければ、こんなに次々と問題が起きて安倍さんの気苦労が重なることもなかった。森友の問題で財務省が叩かれていたとき、財務相の麻生さんは頑なに謝罪を拒んでいましたが、麻生さんは周囲に『なんで昭恵さんが起こした問題で、俺が謝んなきゃならねえんだよ』と言っていたくらいですかね」
ちなみに辞任後の政権運営について、全国紙記者はいう。
「安倍首相は15日午後、私邸で麻生さんと2人きりで約1時間にわたり会談し、さらに今日の昼にも約30分、会談しています。副総理である麻生さんに首相代理の話をしたものの、麻生さんは固辞した模様。新たな首相が選ばれるまで安倍首相が引き続き執務を行うと伝えられているが、もしそうなれば、その間は菅長官が事実上のトップとなる。
自民党は急いで総裁選を行うことになるが、安倍首相の細田派、麻生派、岸田文雄政調会長の岸田派が組んで、岸田さんを総裁に選出する可能性が高いのでは。ただ、衆議院の任期が切れる来年10月までには必ず衆院選があり、来年の通常国会が終わったタイミングで“選挙に勝てる総裁”を選びなおすかもしれない。そうなると石破茂氏をはじめ、いろいろな線も出てくる」
安倍首相は今週24日、連続在任期間で大叔父の佐藤栄作元首相を抜いて歴代トップ(2799日)を記録していたが、その矢先での辞任となった。