突然ですが、組織が常に成長を続けていくためにもっとも重要なポジションはどこだと思いますか?
『稼ぐ会社の「課長心得12カ条」』(森田直行/著、幻冬舎/刊)によると、それは「課長」。
課長は現場と経営の間に位置します。それゆえに「中間管理職」と呼ばれたりするわけですが、自ら実務をこなしつつ、会社の方針に沿ってチームをまとめ、部下を育成し、他部署との折衝もするなど、その仕事は実に多彩。組織を管理するのみに留まらない課長は、「現場の最前線に立つリーダー」としての役割が求められます。だからこそ、このポジションに優秀な人材を配置できるかどうかが会社の将来を左右します。
この「課長」の重要性にいち早く気付いたのが、京セラの創業者であり、経営破たんしたJALを見事再建した稲盛和夫さんです。稲盛さんは京セラにおいて「アメーバ経営」と呼ばれる部門別採算制度を考案、企業内の部門それぞれが一つの会社のように事業運営を行う経営手法を確立しました。この時、各部門の「経営」を担うのが現場の最前線に立つリーダーである課長というわけです。
本書は、京セラ、そしてJALと稲盛さんの側近としてその哲学を吸収してきた著者が、課長職だけでなく、現場で働く全てのリーダーに必要な12カ条の心得を明かした一冊。そこには、現場のリーダーに必要となる次のような3本の柱があるそうです。
■起業家マインドで仕事をする
リーダーは、一つの組織、あるいはチームを「経営」する立場です。
だからこそ、上司の指示に従うだけのリーダーは論外。自分のチームに課せられた目標を達成するだけでもまだ物足りません。
自分でリスクをとって興したビジネスなら「生活費が稼げたからいいや」などとは絶対に思えないはずで、稼げるうちに稼げるだけ稼ごうとするでしょう。
組織におけるリーダーも、任されたチームを「自分のビジネス」と捉えてどんどん成長発展させる貪欲さと意欲が必要なのです。
■部下を高い目標に引っ張るリーダーシップ
部下たちをまとめて、一つの方向にベクトルを合わせるのも、リーダーの大切な仕事です。
考え方も価値観も異なるメンバーたちに同じ方向を向かせるだけでも苦労するものですし、一度まとまったとしてもいつまでも続くとは限りません。
常にチームのベクトルが合った状態をキープするために必要なのは、何よりもリーダーの熱意です。日頃から積極的にコミュニケーションを取り、自分が率先して行動を起こすといった態度で、リーダーの熱意は部下に伝わり、部下からは信頼が返ってくるはずです。
■誰よりも向上心を持つ
組織の「経営者」として、現場のリーダーには様々な判断が求められます。その時に必要となるのは、やはり知識です。