「働きたいのに、働けない」人がいる一方で、「採りたい人を採れない」と悩む企業がある。なぜこのような状況が起きるのだろうか。その時々で経済状況や企業業績の浮き沈みがあるのはもちろんだが、募集や面接など、採用の局面でミスマッチングが発生していることも一因だろう。
『時代を勝ち抜く人材採用』(武井繁、米田光宏/著、ダイヤモンド社/刊)では、採りたい人材を採り逃がさないために、採用活動において企業はどのようなアクションをとるべきなのかを解説している。
著者がおこなったアンケート調査結果によると、採用活動に成功している企業の面接スタイル(面接人数、面接時間、面接場所)には、以下のような特徴があるという。
・必ず1対1の個人面談をおこなっている(一度に複数名の面談をおこなわない)
・最低30分、採用者に対しては1時間前後おこなっている
・会議室がなければ、あまり人が出入りしないプライバシーが保てる場所でおこなっている
「1時間面接をおこなう」と聞いて、長いと感じる人もいるかもしれないが、これから紹介する方法をとれば、むしろ「1時間あっても足りないぐらいだ」と感じるだろう。
■「最初の質問は応募動機」はNG
面接の最初の質問を「応募動機」にしている企業は少なくないだろう。だが本書によれば、この質問を初めに持ってきても、応募者はあらかじめ用意してきた答えを読みあげるだけで、本音を引き出すのはむずかしいという。
応募者の本音を引き出す上で重要なのは「何をどういう順番で聞くか」。まず「何を」については、以下の点を実行するだけで応募者の話から得られる情報量はかなり変わるのだそう。
・面接の前半では、まだ応募者の緊張が解けていないことが多いので、あまり深く考えなくても「はい/いいえ」で答えられるような質問をする
・場が温まってきたら、「なぜ?」「どのように?」といった具合に、深く突っ込むような内容の質問をする
そして、これらに加えて「どういう順番で」聞くかにも気を配ったほうがいい。本書では以下の点をポイントとして挙げている。
・「過去」から「未来」の順に質問をしていく
なぜこのような順番で聞くのが好ましいのか。まず応募者の過去に関する「事実」を引き出すことで、そのバックグラウンドを知ることができるからだ。その上で、「将来の希望」といった未来の話、さらには志望動機を聞くことで、応募者の語ったことが本音なのかどうかを判断しやすくなるのだという。
本書には他にも、応募者から企業に対しての質問から何を汲みとるべきかといった点にもふれている。採用活動に行きづまりを感じている担当者は読んでおいて損のない内容だろう。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。