「本を読んだ方がいい」ということを頭では分かっていても、普段から読書に親しんでいなければ、戸惑うことも多いだろう。分厚い小説は敬遠したり、1冊の本を読み通せないで諦めてしまうこともあるかもしれない。
では、途中で挫折しないためにはどうしたらいいのだろうか。
『本をサクサク読む技術』(齋藤孝/著、中央公論新社/刊)では、登場人物がややこしい長編小説の読み方、本を同時に読み進める「並行読書」、1000冊読める大量消化法など、「面倒くささ」から解放された贅沢三昧な読書法を紹介する。
まず、本を買ったら1冊読み通さなければいけない、という思い込みはなくしてしまってよい。むしろ、一般的な実用書などの場合は読み通そうと考えないほうがいい。その本から自分の知りたい知識だけを引き出した時点で「読了」とみなしていいというのだ。全体のうち2~3割でも読めば十分。その代わり、より多くの本に出会い、エッセンスを片っ端から吸収していく。「この1章分だけ読む」「○○について書いている部分だけ読む」という具合でもいいのだ。
この「2割読書」にうってつけなのが、「新書」だと齋藤氏は述べる。今はどんな分野でも新書がある。それもしかるべき専門家が、不特定多数の「知識ゼロ」の読者を対象に、入門書として書いている場合が多いからだ。
かつて、学者が本を書くとなると、最高水準に仕上げる向きがあった。構成も、最初に先行研究を紹介し、問題的を行い、自身の研究経過を説明し、最期に結論を提示するというのが1つのパターンだったという。一方、新書は発想が全く違うと齋藤氏は指摘する。最初から読者を幅広く想定し、本質だけに焦点を合わせて情報を大幅にカットし、難しい話を噛み砕いて伝えるのが当たり前になった。構成も冒頭またはタイトルで結論を出し、本文でその理由や事実関係を説明するのが基本パターンだ。
新書は、量的にも200ページ程度で、手っ取り早く概要を知るには絶好のテキストになり得るだろう。そこで得た知識をベースにして、別の専門家による新書を読むもよし、もう少し高度な単行本を探してみるのもよし。入り口をうまくくぐり抜ければ、読書の世界は広がっていくということだ。
読書はしたい。けれど、読み始めても読み通せない。読むのが遅い。何を読んだらいいかわからない。そんな悩みを解決してくれる本書は、読書の面白さに気付くきっかけとなる1冊になるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。