小学校の算数のテストで「70点」を毎回とる子どもと「30点」をとる子ども。どちらが後々、伸びる可能性が高いだろうか。
普通に考えれば「70点をとる子」だが、意外なことに、答えは「30点をとる子」だという。
テストは点数が高いほうがいいのに、なぜ算数のテストでは、点数の低い子どものほうが伸びるのか。
■算数のテストは理解していなくても点数がとれてしまう
『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』(今木智隆著、文響社刊)では、「位」「単位」「図形」の3つの基礎的な理解力をつけ、どんな子でも算数に苦手意識を持つことなく、実力を伸ばしていく方法を解説していく。
本書によると、算数のテストで毎回70点をとる子どもの中には、実は先々理数系の科目が苦手になる「苦手予備軍」が多いという。
なぜなら、小学校の算数のテストは完全に理解していなくても、解き方を真似したり、基本問題ができれば、70点くらいはとれてしまうからだ。ここに算数という科目の落とし穴がある。
たとえば、暗記が得意な子どもは、算数の基本を理解していなくても、解き方のパターンを覚えていたら点数がとれてしまうので要注意。なまじ点がとれていることで、親も「うちの子は大丈夫だろう」と、我が子が算数を本当には理解していないことに気づかない。本当の意味で算数を理解しないまま学年が上がっていき、壁にぶつかってしまうことになりかねないのだ。
一方、「30点」はどうだろう。どう考えても、あまり理解していない点数である。
わかっていないことが明白なぶん、苦手な部分を自覚し勉強することができる。「わからなかったところがわかるようになる」という体験ができれば、その後の学習のモチベーションにもなる。
著者の今木智隆氏は、算数をロールプレイングゲーム(RPG)に例えている。算数は理解できていない部分があると、ある地点からは先へ進めなくなる。RPGも「あるダンジョンをクリアできなければ、次のダンジョンに進むことができない」構造なので、算数と似ているのだ。
算数のテストは、「そこそこ点がとれている」状態は、理解度が不十分。90点をラインに、十分に理解できているか、できていないかを判断するといいという。
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この本は極めて実用的だ。ここでは本書の前半部分である「残念な真実」の部分を紹介したが、後半部分は子どもがつまずいてしまいがちなポイントをあげ、親がつい思ってしまう「なぜ解けないの?」の理由を説明してくれる。親はこの章を読むことで、子どもへの教え方を劇的に変えることができるわけだ。
さらに、ただ単に算数を教えるコミュニケーションではなく、算数を通して考える力を育てるコミュニケーションを学べるようになっていることも大きな特徴だ。
これからの時代、理系の教化が得意なことは大きなアドバンテージになる。
本書では、10億件ものリアルな学習データを元に、そんな子どもを育てるための学習法を徹底解説している。もちろん、文系親でも読み込むことができるので、どんな人にも安心して手に取ってほしい一冊だ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。