心が満たされない、ストレスが溜まっていく、といった仕事での人間関係の不満を解消し、もっと充実した気持ちで働くにはどうしたらいいのか。
迷える大人たちに向けて、「なるべく楽しく、居心地よく働いていくにはどんなマインドになればいいのか」を教えてくれるのが、児童の自主性・自立性を引き出す授業を行い、注目を集めている小学校教論の沼田晶弘氏だ。
『one and only 自分史上最高になる』(沼田晶弘著、東洋館出版社刊)は、東京学芸大学附属世田谷小学校で教鞭をとる沼田晶弘氏が、子どもたちと共に学ぶ日々から見えてきた「自分の輝ける場所で結果を出し続ける人になる」ための方法を紹介している。
■仕事の中で承認欲求を満たすには?
「承認欲求」という言葉がある。たとえば、SNSの投稿で「いいね」を集めたい、という気持ちは、この承認欲求から生じるものだ。もちろん度を越えたらマイナス面もあるが、付き合い方を間違えなければ、ポジティブなものである。
目標を達成することで、自分で満足感を得たり、人からも褒められるから、さらに高い目標に向かってがんばれる。承認欲求は「成長」につながるポジティブなエネルギーの源ともいえる。沼田氏はそんな承認欲求を、親しみを込めて「みてみて欲」と呼んでいる。
た だ、承認欲求が100%満たされることはないため、どこかで折り合いをつける必要もある。折り合いをつけるコツは「『だれから・どこまで』満たされたいか」を考えること。満たされたい範囲を決めることで、承認欲求に振り回されることを避けることができるのとどうじに、意欲的な活動にもつながるのだ。
では、仕事の中で「承認欲求」はどのようにすれば満たされるのか。そのキーワードは「伝え方」だ。「誰に見てもらいたいか」「どこを見てもらいたいか」というターゲットとゴールを明確にすることが重要。沼田氏の場合は教師なので、クラスの子どもたちとその保護者となる。
伝えるときに気をつけなければいけないのが、言いたいことだけを言いたいだけ話してしまうこと。これは「みてみて欲」の押しつけであり、逆効果になってしまうという。
相手にとって心地のいいアピールをするには、相手に興味をもたせるテクニックを身につけることが必要だ。相手の立場に立って、愛情をもって考える。承認される前に自分から相手を承認するのだ。そして、自分に興味を持ってもらう。
欲しい承認を得るためには、それを得るための段取りが必要。
まずは積極的に喜ぶことで、どこを褒められたら嬉しいのかを相手に気づいてもらうのだ。褒められたいポイントを相手に的確に伝えて、気づいてもらうのが、うまい伝え方。褒めてもらいたいときは、自分で褒めてもらう環境をつくる。みてみて欲は、満たされるのではなく、自分から「満たす」ものと考え、その環境を自分からつくっていくと著者は語る。
実はこれは相手への想像力を持っていなければできない行為。みてみて欲を満たす先にあるのは、相手を承認することだ。
相手のことを見て、気づき、認める。そして、褒めて、自分のことのように喜ぶ。承認とは、「みてみて」の次元からお互いの存在を喜びあえるような状態に行き着くこと。そうすれば、みてみて欲を満たす以上に、人として成長できるのだろう。
本書の帯には、読売巨人軍の原辰徳監督が「失敗は、乗り越えれば失敗ではない。倒れても必ず立ち上がれるということをこの本が教えてくれる」という言葉を寄せている。
仕事へのモチベーションを上げたり、人として成長するためのヒントが詰まった本書。先生の授業を受けて、一緒に学ぶつもりで読んでみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。