「将来、何がやりたいかわからない。どうすればそれが見つかるのかもわからない」
こう悩んでいる就職活動を控えた大学生は少なくないだろう。
ただ、これは学生時代特有の悩みではなく、大人になってからも「転職したほうがいいのか?」「このままでいいのかわからない」と悩み続けるものだ。
経営難だったユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた立役者であるマーケターの森岡毅氏の大学生の娘も、将来何がやりたいかわからなくて悩んでいた。
そこで、ビジネスの最前線で生きてきた森岡氏が父親として、自分の娘のために将来や仕事のことを考える際の考え方をまとめていた。
それを一冊の本にしたのが『苦しかったときの話をしようか』(ダイヤモンド社刊)だ。このほどオーディオブック化されている。
■あなたの年収を決める3つの仕組み
就職活動や転職活動をするときに、年収を気にしない人はいないだろう。初任給だけではない。10年後、20年後、将来どのくらい稼げるのか。ただ、それを考えるとき、人の年収が決まるメカニズムを知っておく必要がある。
なぜなら職業を決めた瞬間にほぼ自動的に年収が決まってしまうからだ。
年収を決めるドライバーは3つあると森岡氏は述べる。
1つ目は、その人の職能の価値。職能の需要と供給で年収が決まる。需要が高い職能を持っている人は代わりが少ないため、給料は高い。その逆は給料が低くなってしまう。
2つ目は、所属する業界の構造。同じ職能でも、業界の構造で給料の高い、低いは決まっている。なぜなら市場構造が払える人件費を決めているからである。
3つ目は、成功度合による違い。同じ職能でも、成功度合いで年収は変わる。どれだけ自分の価値を上げ、代替不可能な能力を持っているかで年収は決まるのだ。
■好きな仕事を選び、プロになる。お金は後からついてくる。
年収の決まる3つの仕組みを知り、職業を決めた瞬間に年収が決まるということを理解したうえで、それでも好きな仕事を選ぶべきだと森岡氏は述べる。
仕事はつらいことも多いので、好きでなければスキルアップする前に挫折してしまうかもしれない。ただ、重要なことは、その業界で替えの利かないプロになることだ。
プロになれば年収アップにもつながる。たとえば、個人店のカレー屋が成功すれば、そのノウハウを売るビジネスにステップアップできる。カレー屋の店長からフランチャイズチェーンのオーナー社長になり、年収もアップする。
情熱をささげられる職種に就き、プロになり、職能や業界の構造を飛び越える。こうすればキャリアアップにもつながる。成功を繰り返していけば、後からお金がついてくるのだ。
「何の仕事がしたいのかわからない」というのは、やりたいことを見つける方法や考え方がわからないのが原因の一つかもしれない。
仕事選びやキャリアアップに悩んでいるという人は、本書から前に進むためのヒントが得られるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。