言葉には病気を引き起こしたり、病気を癒したりする強い力がある。そう語るのは、内視鏡の専門家として多くの患者の身体の内部、胃腸の中を見てきた経験と、心療内科医として多くの患者たちと接してきた経験をしてきた梅谷薫氏だ。
『「毒になる言葉」「薬になる言葉」』(梅谷薫/著、講談社/刊)では、知らず知らずのうちに身体も心もむしばむ言葉の毒のメカニズムを梅谷氏が、そのメカニズムを解き、「言葉」の力を味方につける具体的な方法を紹介している。
どのような言葉で傷つき、どのような言葉で救われたのか。梅谷氏の外来に通院している500名あまりの患者とセミナーに来た人たちを対象に、それぞれ3個ずつあげて、簡単なエピソードを書き込む形式の「毒になる言葉、薬になる言葉アンケート」を実施した。
その結果は、「毒になる言葉」のほうが個別的で幅広い分野にわたり、「薬になる言葉」は共通のものが多かったという。
アンケートの結果による身体をむしばむ「毒になる言葉」は、「クサい、汚い、普通じゃない」「死ねば?」「洋服のサイズ、ないんじゃない?」など。自分ではどうにも変えようのない容姿や性格、一方的な視点から見た過去の失敗や事件、その人の全存在を否定するような言葉が多かったという。「よく生きてるねぇ」「こんなにひどくなっちゃ、私になんか治せないよ」といった医者や看護師からの「ドクハラ(ドクターハラスメント)」も多く聞かれたそうだ。
一方、「薬になる言葉」は、「大丈夫!」「私はあなたの味方だよ」「つらかったよね。よくがんばったね」といった言葉が多かった。回答欄に「にゃ~」と猫の鳴き声を書き込んだ人もいたという。他には、これまでの苦労を認めてくれる言葉、安心と希望を与えてくれる言葉、信頼を表明する言葉、自分でも気づかなかった視点からの言葉、これまでの苦労を具体的に評価する言葉などがアンケートの回答にあったという。
落ち込んでいるときに、優しい言葉や励ましの言葉を掛けてもらって元気になった。反対に、心ない言葉に傷ついて、体調を崩してしまった。そんな経験は誰にでもあるだろう。
言葉がどれだけ心身に影響するのか。本書を読むと、相手のことを想い、言葉選び、使い方には十分気を付けるべきだと、言葉の重みを改めて実感するはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。