2020年の東京オリンピック開催により、訪日外国人観光客の増加が見込まれている。
その経済効果は5~6兆円とも言われる一方で、宿泊施設が不足するのではと懸念する声もある。
この問題を解決する策の一つとして注目を集めているのが、個人宅などの空き部屋を宿泊施設として貸し出す「民泊」だ。インターネット上で部屋を貸したい人と借りたい人とのマッチングを行なう仲介サービスも登場し、民泊は以前よりも身近なものになりつつある。
■借り手にも貸し手にもメリット大! 民泊の魅力
仲介サービスの代表例として、業界最大手の「Airbnb」(エアービーアンドビー)がある。Airbnb は2012年に日本にも進出。利用者の数は、2014年に30万人、2015年には100万人に達したとも言われている。
Airbnbは元々、イギリス発祥の「一泊朝食付きの安価なホテル」(通称ビーアンドビー)に由来しているものの、「素泊まり」が主流。空き家、あるいは自宅の空き部屋を宿泊施設として利用し、価格帯はどんなに高いものでも5万円程度とリーズナブルだ。
貸す側にとっては、空きスペースを使って収入を得られる、宿泊者と国際交流をはかれるといったメリットがある。
また、借りる側にとっても、気軽かつ安価に宿泊できるという意味で利用価値がある。Airbnbを例にとれば、宿泊料金は「一部屋いくら」という形で決まっているため、基本的には宿泊人数が多いほどおトクになる。よって、グループ客や家族客で利用しやすいというのも大きな魅力だ。
特に貸す側にとっては、「いくらで貸すか」の値づけをし、キャンセルポリシーなどの最低限の決まりごとさえ作りさえすれば、送金や集金はすべてAirbnbが代行してくれるので運用面での負担が少ないこともメリットだろう。
■民泊は法的にクロかシロか?
ここまで読んで、貸す側・借りる側双方にとって「メリットだらけ」のサービスのように感じるかもしれない。しかし、『低資金で高収益! [Airbnb]不動産投資戦略』(ぱる出版刊)著者の岡田のぶゆきさんは「リスクもある」と警鐘を鳴らしている。
では、Airbnbを始めとする民泊サービスに潜むリスクとはどのようなものなのか。主だったものは以下の三つである。
(1)法的リスク
(2)近隣クレーム
(3)部屋の破損
特に問題視されているのは、法的リスクだ。日本の旅館業法において、有料で宿泊施設を貸し出すことが許されているのはホテルや旅館など、営業許可を受けた施設のみ。無許可の場合、民泊は現行の旅館業法に抵触していることになる。