本書は「有効利用できている」と思い込んでいた多くの時間が、実は「浪費している時間」であったと気付かされる内容となっている。
社会人に「あなたは自分のスケジュール管理をできていますか」と質問したら、ほとんどの人は「はい」と答えるだろう。「そんなことは基本中の基本。できない人は社会人失格」くらいに思っている人もいるかもしれない。
ただ、勘違いしがちなのは「スケジュール管理ができている」ことと「無駄なく時間を使えている」ことは別物だということだ。
『「時間」はどこへ消えたのか?――「期限」が仕事を遅くする』(ダイヤモンド社刊)の著者、吉都紀太介(きつき・だいすけ)さんは、多くの人は一日のほとんどの時間を無駄にしているという。
■遅刻しないことだけが「スケジュール管理」ではない
「打ち合わせや約束をすっぽかしたり、時間に遅刻しないように行く」という意味でのスケジュール管理ならば、社会人ならできているはず。しかし「目標を実現する」ためのスケジュール管理となると、それだけでは足りない。
仕事の中で達成すべき目標に全精力を注ぐためには、まず最大限の時間を割く必要があり、自分の能力を磨き、開花させるためにも時間は大きな意味を持つ。しかし、多くの人は「しなくてもよいこと」、「後回しにすべきこと」に多くの時間を浪費している現実がある。
これらのタイムロスをそぎ落とし、本当に効率のいい時間の使い方ができるようになった時、その人の仕事は根本的に変わり、大きな成果を出せるはず。
では、仕事の中の「タイムロス」はどこに潜んでいるのか。
■仕事の進行と自分の成長を妨げる3つのタイムロス
吉都紀さんは、仕事には「進行中の時間」と「停止中の時間」があるとしている。
「進行中の時間」とは、ある仕事を自分や自分のチームが進行させている時間を指す。また、仕事を依頼した相手が仕事を進行させていて、自分や自分のチームがその終了を待っている時間も「進行中の時間」に含まれる。
この「進行中の時間」に生まれるタイムロスは、「所要時間の延長」である。本来1時間で終わる資料作りに2時間かかったとしたら、1時間のタイムロス、というわけだ。
これに対して「停止中の時間」は、何らかの理由でやるべき仕事を忘れている時間や、優先順位を誤ってやるべき仕事が放置されている時間を指す。仕事を頼んだ相手がこの状態にあるケースも含まれる。
「停止中の時間」でのタイムロスは「開始時間の遅延」と「不履行」だ。
ここまでに紹介してきた3種類のタイムロス(「所要時間の延長」「開始時間の遅延」「不履行」)については、自分の仕事や自分のチームのプロジェクト進行を振り返ってみて思い当たる節がある人が多いだろう。これによって毎日かなりの時間を浪費していることも、またその時間を利用して様々なことができたこともわかるはずだ
「所要時間の延長」「開始時間の遅延」「不履行」は、どれもさらに細かく分類することができ、それぞれに対処法がある。また、読み進めていくうちに、「有効利用できている」と思い込んでいた多くの時間が、実は「浪費している時間」だったことに気づかされる。
本書では、吉都紀さんが自身の会社成長と人材育成に大いに役立ったタイムマネジメントのスキルとして、それらについて詳しく触れられているので、自分の仕事を変えるために、そして部下の教育のために、活用してみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。