1990年代、患者数が急激に増え始めた「逆流性食道炎」。いまや3~4人に1人がかかる国民病のひとつとされています。年配者だけでなく、若い人にも増えているため、注意が必要です。
『胸やけ、ムカムカ、吐き気、げっぷ……それ全部、逆流性食道炎です。』(関洋介著、アスコム刊)によると、
・食事のあと、胸やけがひどい。吐き気がする。
・夜、横になると胃酸がこみ上げてくる。
・たくさん食べると、胃もたれがひどい。
・普段から酸っぱいものがこみ上げてくる。
・のどに圧迫感があって、苦しい。
・しつこい咳に悩まされている。
このような症状があったら、逆流性食道炎の可能性があるそう。大したことないから、といって油断するのは禁物です。放っておくと食道がんを引き起こすリスクもあるといいます。
■こんな人がなりやすい! 逆流性食道炎は現代病
本書の著者で、逆流性食道炎の外科治療で国内屈指の執刀経験を持つ関洋介医師によると、逆流性食道炎は、胃液の逆流によって胸やけや胃もたれなどが起きてしまう病気。
胃と食道のあいだのゲート(下部食道括約筋)がゆるむと、胃液や胃の内容物が頻繁に逆流するようになります。さらに、食道の蠕動運動が弱っていたり、腹圧が高くなったり、胃酸過多になると、症状が強く出てしまいます。
・肥満傾向がある。
・脂っこい食事が好き。
・食べ過ぎることが多い。
・お酒をよく飲む。
・辛いものなど刺激の強いものが好き。
・ストレスの多い生活を送っている。
・ピロリ菌を除菌した。
・おなかを締め付ける服装をしている。
・猫背である。
このような人が逆流性食道炎になりやすいとされています。
■逆流性食道炎の3つの治療法
逆流性食道炎の治療は、おもに3つあるそう。
(1)生活習慣の改善。まずは、できるかぎりセルフケアを。
(2)薬物治療。胃酸分泌を抑制する薬を飲みます。
(3)外科治療。それでもよくならない場合、専門医の手術を受けます。
症状が軽ければ、病院に通わなくても、生活習慣に気をつけることで、症状をある程度おさえられます。肥満傾向のある人なら、体重減少に努めること。なかなか難しいことですが、できるだけストレスの軽減に努めること。ストレスは胃酸の分泌を高めてしまいます。
食事との関係が強い病気なので、「こういうものを食べたら必ず調子が悪くなる」というような規則性があれば、その原因になるような食事を避けること。脂っこい(脂肪分の多い)もの、甘いもの、刺激の強いもの、アルコールは、症状が出やすいので控えましょう。
そのほか、食後2時間は横にならないようにする、炭酸は発泡して腹圧を上げるので避ける、夜寝るときは頭を高くするようにして左側を下にするなど、本書には、さまざまな対処法が載っていますから、ぜひ試してみましょう。
逆流性食道炎は、命にかかわる病気ではありません。しかしながら、患者さんの「生活の質(QOL)」に深刻な影響を及ぼす病気です。最近では、手術を選択する人も増えています。腹腔鏡を使った手術は、体への負担も軽く、実に9割のケースで症状が改善しています。
また、逆流性食道炎は、検査で胃カメラを飲まないと正確な診断はできないそう。食道がんのリスクもありますから、気になる症状がある人は、医師の診察を受けて、自分に合った治療法を探してみましょう。市販薬などを飲んでガマンするより、ずっと楽になるはずです。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。