融資期間は18年、金利は固定金利で1.29%、返済は月に15万5711円。この事例における固定金利は破格の条件ですが、通常の2%後半の固定金利でも、賃貸経営を安定させる上で変動金利よりメリットがあると椙田さんは述べます。
続いて、物件の収入と支出を見て行きます。
●収入
利回りを見てみると、わずか1室空いているだけで利回りは1.4ポイントも下落します。つまり、物件を購入したら満室稼動させる経営努力が必要だということになります。この物件の場合には、購入後すぐに空室が埋まったそうで、その後は順調に満室稼働しているとか。
●支出
月々の融資返済もさることながら、不動産経営には「ランニングコスト」という経費が発生します。月ごとの経費はだいたい家賃収入のおよそ10%~20%。管理費や定期清掃費など、年間で固定資産税や都市計画税が発生します。
これらを計算した上で、投資すべきか否かの判断をします。
現況は1室空いていたので、家賃収入は年間318万円。そこから経費(本書では高めに17%と設定)、融資返済を引くと、1年で約77万円1000円が手元に残る計算になります。
77万1000円を購入金額の3000万円で割ると、2.57%。これが物件の「キャッシュフロー率」になります。キャッシュフロー率とは、購入額に対して年間にいくらのキャッシュフローを生み出してくれるかの率のことで、数年前だと2%が目標といわれていたものが、現在は不動産投資人気によって低下の傾向にあります。そのため、「2.57%」という数字はとても高いといえます。
また、物件購入で使った自己資金240万円は3年で回収可能ということから、年間100万円目標で始める規模の投資としては、かなり良さ気な物件であると判断できるでしょう。
●購入から5年でアパートを売却する
売却益を狙うならば5年で売るのが椙田さんのセオリー。
ここでキモになるのが、築年数です。築古になればなるほど家賃は下落するものですが、だいたい20年をめどに横ばいになるといいます。もちろん近隣の環境に左右される部分もありますが、地方であれば大きくは変わらないでしょう。
この物件は築21年なので家賃の下落がしにくく、不動産の価値が大崩れする可能性も少ないので、「買ったときと同じ金額で売却すれば良い」という椙田さんの考えに適しています。
また、大事な視点は「利回りで買って、利回りで売る」という原則です。収益アパートの場合、利回りが買ったときから落ちなければ、売却は充分可能だと言います。
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いかがでしょうか。不動産投資のイメージがなんとなく湧いてきましたか? もちろんここで紹介する際に割愛した大事な部分もあるので、そこはぜひ書籍を参考にしてほしいのですが、椙田さんが教える「王道」の不動産投資の方法はとてもシンプルで、誰でも実践できる内容になっています。
不動産投資についてこれから知ろうとしている人から、何棟か経営して成功し、さらなる投資を考えている人まで幅広いニーズに対応できる思考法が詰まった本だといえるでしょう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。