米国を中心にAI事業に挑むベンチャー企業も相次いでおり、投資額も急拡大しているという。17年2月に野村アセットマネジメントが設定したAI関連投信は、運用規模が1000億円の大台を超えている。
また、銘柄選択に「AIの技術を用いる投資信託」も登場し、個人投資家の関心を集めているという。
ゴールドマンの投信「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」は、膨大なデータを手掛かりに有望な投資先をAIが選択する。ディープラーニングと呼ばれるAI自身が学ぶ技術が確立されてきたことで実現した運用戦略だ。
日本でも大手証券会社がAIを活用した投信の販売は始まっており、次々と新設されているようだ。
■ビットコインが物語る、「バブルの今」
2017年6月、著者がキャスターを務めるBSジャパンの番組『日経プラス10』に招かれた国内最大手のビットコイン取引所「ビットフライヤー」の加納裕三社長は、「今のビットコイン市場はバブルになっているかもしれませんね」と語ったという。
これまで中国の投資家が中心だったビットコイン取引に、2017年から日本勢が雪崩を打って参入しているという。
その背景には、仮想通貨を決済手段として認める法律の施行や、安全に使える取引環境の整備、有名企業がビットコインで支払いを受け取るようになったことが挙げられる。
新奇性の高い取引対象として投資資金が流入しているが、90年代前後の「不動産バブル」ほどのインパクトはないように思える。
というのも、著者は「問題はバブルそのものよりも、崩壊後の後遺症の深刻さのほうにある」と述べ、そのレベルを「巨大バブル崩壊」と「限定的バブル崩壊」に分類している。 両者の分け目は「銀行が潰れて、世の中のカネの流れが滞るかどうか」だ。
この分類に照らし合わせれば90年代前後の「不動産バブル」が前者、2000年代に起きた「ITバブル」は後者になる。「ビットコイン・バブル」が前者のようなバブルを生み出すとは考えにくいだろう。
一部ではカネの流れが活況になってはいるものの、こうしたバブルは局所的だと捉えることができる。だが、もっとも怖いのは経済システムを大混乱に陥れる「巨大バブル」が起こり得るのかということだ。
本書ではその最大の懸念を、政府と日銀の動向から窺っている。気になる人は本書を手に取ってみてほしい。(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。