会社という組織の中で、効率よく出世していく人は、他の社員とどんなところが違うのか。
たとえば、組織の中で上に行ける人は、ヒラ社員の段階からすでに部長以上への昇進に備えているという。では、どんな備えをして、出世レースを勝ち残っているのだろう。
■昇進のルールは「世代」によって異なる
『組織で上に行く人は「どこ」で差をつけているのか?』(加谷珪一著、実務教育出版刊)は、ポストが上がっていくにしたがって昇進のルールが変わっていく現実や、組織の動かし方、戦略立案の方法などを経営者目線で論じていく一冊だ。
本書によれば、長い出世レースの道のりには、大きく分けて2つの関門があるという。
1つは、若手から管理職に昇進する段階。もう1つが、管理職から経営層に昇進する段階だ。
つまり、組織には「若手の仕事」「管理職の仕事」「経営層の仕事」という3つの世代がある。そして、その世代ごとに昇進のルールも異なるのだ。
■若手→管理職→経営層。それぞれ必要なものとは?
若手のときは、基本的に上司の指示に基づいて与えられた仕事を進めることになるはずだ。
ゆえに、「指示された仕事をしっかりとやり遂げることができたのか」という一点が、評価において重視される。
極論だが、若手は仕事に関して創造性や独自性は求められない。だから、若手の段階では自意識を捨て去り、上司や会社が何を求めているのかをしっかり理解することが重要だといえる。
ところが、管理職に昇進すると状況は変わると著者は述べる。
その違いは、自分の働き方を評価されるのではなく、人の使い方を評価されるという部分だ。さらに、上層部と現場は大きく乖離していることも多く、現場の状況を見定めつつ、上層部が求める数字をいかにつくれるか、これが管理職の腕の見せ所になるのだ。
もし管理職として仕事をまっとうし、成果を上げることができたなら、出世に大きく有利となるだろう。
さらにその上の経営層に昇進すると、大きな価値観の転換を迫られる。今度は人から組織へと視点を変えなければいけない。組織の意思をうまくコントロールして、全社的に利益が上がるように工夫することが求められる。
人・モノ・カネの流れを頭の中で描くことができなければ、経営層になれないのだ。
今、何が求められていて、今後昇進していく過程で、何がどのように変化するのか。これをしっかりと見極めて理解し、実行することが出世するために必要なのだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。