頼まれたら、断われない。相手のことばかりを気にして、本音を押し殺し、自分ばかりが人に振り回されてしまう。
真面目で優しい人ほど、そんなことになってしまうもの。では、波風立てずに断わるにはどうしたらいいのか。
『できる大人は、男も女も断り上手』(伊藤由美著、ワニブックス刊)は、銀座で35年間にわたり、一流クラブのオーナーママを務めてきた著者の伊藤由美氏が、ビジネスから恋愛まで接客のプロとして大切にしてきた角の立たない「お断わりの作法・技術」を紹介する一冊だ。
■上司や取引先の断りづらい指示や誘い、どう切り抜ける?
上司からの仕事の指示や飲み会の誘い、取引先からの依頼や問い合わせなど、断りづらいのが仕事関係。ビジネスシーンでの上手な断り方とは、どんなものなのか。
仕事が絡んでいるがゆえに、さまざまなしがらみがある。そのために、プライベートよりも断り方が難しいし、気を遣う必要が出てくる。
例えば、「残業をしてくれないか」と言われた時に、角が立たないように断るにはどうすればいいのだろう。そこで使えるテクニックが、「その代わりに…」という代案を提示するという方法だ。
「申し訳ありません。今日は外せない予定があって残れませんが、明日なら残れます」
「すみません。今日は19時までしか残れないので、明日朝の対応でもよろしいですか?」
こうすることで、「今日の残業」という上司からの依頼は完全に断りながらも、上司には「100%拒否されたわけではない」という印象を残せる。
この「代案を出す」という方法は、残業のシーンに限らず、上司からの仕事の依頼を断るという広い範囲で役立つ。
■どうしても断れないときは…「交換条件」を提示せよ
ただ、どうしても断れないという場合もある。そんなときは、「交換条件」を提示するというのもひとつの手だと著者は言う。これは厳密に言えば「断わり方」ではなく、断れなかったときの自分の心の負担やストレスを軽減するための方法になる。
「断れないから引き受けたけれど、こちらの希望だって聞き入れてくださいね」というギブ&テイクだ。そうすることで、「自分だけ損をしている」「なぜ自分ばかり指名されるんだ」という断わるこができなかったストレスが相殺されて軽くなるのだ。
自分の意思を貫きながらも、周囲への気遣いも忘れない。むしろ、断わることによって相手との信頼関係をより深めることにもなるかもしれない。断わり方ひとつで、人間関係は大きく変わってくるもの。
銀座のクラブのオーナーママの、上手に断わる作法を参考にしてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。