何を話していいのかわからない。沈黙が怖い。そんな理由で「雑談」が苦手と言う人は多いのではないだろうか。
雑談は目的や具体的な用件がないので、話題作りに苦労する。そんなつもりはないのに、相手をイライラさせたり、カチンとさせてしまうこともあるだろう。
こんなことにならないために、一体どうすればいいのか。
『その雑談カチンときます』(吉田照幸著、青春出版社刊)では、「相手の言葉のどこを拾うかを見分ける」「話の腰を折る意外な一言」「無口な人が出しているサインの読み取り方」など、NHK『あまちゃん』の演出、映画『探偵はBARにいる3』の監督など、多くの人気作を手掛けている吉田照幸氏が、撮影現場で個性あふれる俳優や芸人たちとの長時間の雑談で磨かれた独自のコツを紹介している。
■「わかる、わかる」は雑談をつまらなくする?
相手の話に対して「わかる、わかる」を連発していることはないだろうか。
使いやすい言葉であり、一見すると、よく話を聞いているようだが、これは実は雑談において危険な口ぐせだという。
なぜなら「わかる」とは言っているものの、実際には「自分が理解したいような形や理解しやすい形に相手の話を変換して解釈して、わかった気になっている」といったケースが多いからだと吉田氏は指摘する。
なぜそう解釈してしまうのだろう。
それは、「理解し合えた」と思うことで、自分の中にストレスが溜めないようにしているからではないだろうか。
意見や価値観が違って空気が微妙になったり、自分の意見を否定されることが嫌だから、「わかる、わかる」とわかったふりをする。
しかし、これは雑談においてはあまり好ましくない姿勢といえる。
相手と自分は同じ人間ではないのだから、たとえ同じ経験をしたとしても、感じ方や考え方は違うもの。そこで「わかる」と言ってしまっては、せっかく質問や反応が生まれそうなチャンスをつぶしてしまい、会話が弾まなくなってしまう。
吉田氏いわく、雑談がうまい人は、他人の価値観にとても寛容だという。
人それぞれ価値観があるということを前提に会話するから、わからないことがあれば、わからないまま受け止め、「なんでこの人はこう感じたんだろう?」と疑問がわく。
それをそのまま質問すれば、もうありきたりな会話ではなくなるのだ。
相手が言っていることを無理やり理解する必要はない。わかったふりをして「わかる、わかる」と共感するよりも、「わかんないけど、なんで?」と聞けるほうが、ずっと楽しい雑談ができるというわけだ。
本書からコツをつかみ、雑談を楽しめるようになれば、さらに交友関係が広く、深くなるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。