多くの人はリーダーという立場になったとき、部下との関係に悩むのではないだろうか。どういう言葉を掛ければ適切なのか。成長を促すにはどうすればいいのか。もしかしたら、自分にまったく人望がなくなっているかもしれない。
『私が「ダメ上司」だった33の理由』(日本実業出版社刊)の著者である牛堂登紀雄氏もその一人だった。東京・南青山にオフィスを構え、最盛期は30人近くの従業員を抱える経営者として働いていたが、5年間でスタッフは全員離反し、空中分解してしまう。その原因は「やってはいけないリーダーシップ」だったという。
本書では、「なぜ、部下がついてこないのか?」「なぜ、部下は思いどおりに動かないのか?」「なぜ、部下とすれ違うのか?」といった部下との関係の悩みを解決する上司の教訓を、失敗体験から学んだ牛堂氏が紹介する。
本書の中から少しだけピックアップしよう。
世代が違えば、働き方や生き方の価値観が違う。部下の価値観が理解できない、という思いを抱いたことのあるリーダーも多いだろうが、このようなときは上司が部下を理解し、上司のほうから部下に歩み寄ることが必要だと牛堂氏は考える。
まずは、部下との世代間ギャップを理解しなければならない。
たとえば、「言ったことしかやらない」のは、今まで自分から手を伸ばさなくても、大人の方から手を差し伸べてくれていたため、基本的には待ちの姿勢になっているから。また、自分から能動的に何かをする、言い出すという経験も少ないと、上司の背中を見て盗む、自分から積極的に教えを請いに行くという発想もなく、「教えてくれないなら、もういいや」と見限ってしまう。
この場合、部下には能動的に何かをする経験や習慣がないだけなので、上司は面倒でも丁寧に説明ことが求められる。「この仕事はもう大丈夫だ。あとはもっと効率よくできないか自分なりに工夫してみたらいいよ」と段階的に任せていくことで、自分で考える習慣ができていくわけだ。
新人類、バブル世代、ゆとり世代などと言われるように、世代間ギャップは今に始まったわけではない。
ある程度歳が離れていれば、時代性で価値観が違うのは当然のことなのだろう。なので、ただ叱責したり、「わけがわからん」と諦めたりするのではなく、「自分のほうから部下に近づいていかなければならない、そういう時代だ」と認識することが大切なのだ。
気づかぬうちに、「やってはいけないリーダーシップ」をやってはいないだろうか。
まずは、上司のほうから寄り添い、部下の話を聞くこと。価値観を理解ができないとしても、否定せずに分かろうとすること。そういったことから、部下とのコミュニケーションは円滑になっていくのだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。