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“アメリカの影の大統領”とまで呼ばれる最強の起業家に学ぶ成功者の行動原則とは?

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“アメリカの影の大統領”とまで呼ばれる最強の起業家に学ぶ成功者の行動原則とは?の画像1※画像:『ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望』(トーマス・ラッポルト著、赤坂桃子訳、飛鳥新社刊)

 「ジョブズを超える最強の起業家」「アメリカの影の大統領」「シリコンバレーきってのインテリ」。ピーター・ティールはさまざまな異名を持つ、ビジネス界のカリスマだ。

 ティールは、世界最大のSNS・フェイスブックの可能性を早くから見抜き、創業から支えた初の外部投資家であり、CIAやFBIを顧客にもつビッグデータ解析企業・パランティアの共同創業者であり、世界最大のオンライン決済サービス・ペイパルの共同創業者でもある。

 さらにペイパルからは、シリコンバレーを代表する起業家が続々と輩出され、固い絆で結ばれた彼らは「ペイパル・マフィア」と呼ばれ、ティールはその首領としても知られている。

 『ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望』(トーマス・ラッポルト著、赤坂桃子訳、飛鳥新社刊)は、そんな彼がこれまで歩んできた軌跡を辿り、どのような思考や哲学を持っているかを明らかにした一冊だ。

 ティールの考え方や言葉の数々は、破壊的だ。しかし、リーダーや起業家を目指す人にとって学ぶべきところも多いだろう。本書から、類稀なる成功を手にした男の行動原則をその言葉とともに紹介していこう。

「ぶっ飛んだビジョン」なくして成功はない

 リーダーや起業家にとって重要な要素の一つが「ビジョン」だ。ビジョンは、部下や社員の士気を高め、物事の成否を大きく左右する。

 彼は優れたビジョンの例として、ペイパル・マフィアの一員でもあるイーロン・マスクが設立したロケットや宇宙船の開発や打ち上げを手がける企業・スペースXを引き合いに出して、次のように語っている。

――スペースXは、『15年以内に人間を火星に移住させる』という、ぶっ飛んだビジョンに動機づけられています。ぶっ飛んだビジョンこそが、我々はその他大勢とは違うぞという自覚をメンバーに与え、結束を高めるんです。

 ティール自身、ペイパルに関して「全世界のための金融OSになるチャンスがあると信じている」と語り、壮大なビジョンを持っていた。その結果、フィンテックという概念が定着し、今や銀行、保険会社、ベンチャーキャピタリストは金融部門のデジタル化にこぞって投資するようになっている。

 ビジョンの持ち方は、リーダーや起業家の器そのものと言えるだろう。桁外れな成功を目指すなら、「ぶっ飛んだビジョン」が持てるかどうかが一つの分かれ目となるだろう。

「強固な友情」がビジネスを支える

 ピーター・ティールが収めてきた数々の成功の大前提にあるのは、強い絆で結ばれたチームの存在だ。

 起業家としてのティールの行動パターンを見ていくと「相性」がカギであることがわかるという。大きく賭けることができる信頼できる人間、自らの思考の道筋を全面的に理解してくれる人間。そうした相性のいいパートナーは欠かせない。スティーブ・ジョブズに、スティーブ・ウォズニアックがいたように、ペイパル創業時のティールにも、天才的プログラマーのマックス・レフチンというパートナーがいた。

 ティールは、パートナーについて次のように語る。

――最も重要な最初の問いは、誰と創業するかです。ビジネスパートナーの選択は結婚のようなもので、もめごとは離婚と同じようにやっかいですから

 さらに、ティールはパートナーには、「共通の前史」があることが望ましいとも述べている。

 育った環境、地域、志を持った経緯、趣味や嗜好。そうした前史があることで、長期的に同じ目標を追うことができるチームや組織となるのだ。

ピーター・ティール流「成功をおさめるための行動原則」

 ティールは、あるインタビューで起業家としてスタートアップを成功に導くルールについて語っており、その中で、次のような「やってはいけないこと」を述べている。

・唯一無二の企業になるため、他社との競争をするな
・人に問われて「起業家になりたい」と答えるような、ビジョンのないフェイク起業家になるな
・ステータスや評判だけを評価基準にするな
・過大評価されがちな「最新のトレンド」に飛びつくな
・過去に執着するな
・その他大勢の真似をするな

 これらは、企業のスタートアップについて語ったものだが、組織内のプロジェクトや、組織の中で生きる個人にも応用できるマインドセットだろう。

 全ての人がピーター・ティールのような世界に影響を与える人間になれるわけではない。しかし、その行動原則の一つでも徹底できれば、自分を取り巻く環境やビジネスは大きく動くのではないだろうか。本書はそのための一助になるはずだ。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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