温かい言葉、冷たい言葉、熱い言葉というように、言葉には感情が込められているもの。しかし、その感情が上手く伝わらなかったり、伝えたいことが表現できなかったりすることも多い。
では、どうしたら伝わるのか。そして、どうしたらうまくコミュニケーションが取れるようになるのだろうか。
『言葉の温度』(馬場典子著、あさ出版刊)は、フリーアナウンサーの馬場典子氏が、「思いや言葉が相手に届かない」「上手く伝わらない」「誤解されやすい」といった悩みを解決する「伝わる」ヒントを紹介している。
言葉の温度は、心を素にしながら、声のトーンや大きさ・話し方や聞き方・言葉遣い・ニュアンス・間・表情など、コミュニケーションの総合力。そして、アナウンサーの話し方・伝え方は、保温効果の高いコミュニケーション方法なのだ。
本書ではシチュエーション別に伝え方のコツが挙がっているが、ここではその中から少しだけ紹介しよう。
■初対面の印象をよくしたいとき
「印象をよくしたいときは、印象をよくしたいと考えないことが一番」と馬場氏。どういうことかというと、自分の印象を気にするより、相手が楽しんでいるかどうかに力を注いだほうが、結果がついてくるということだ。
ただ、それでも気を付けているポイントはいくつかあるという
1.相手の話をちゃんと聞く
2.相手の目を適宜見て話す
3.自然体を心がける
4.プライバシーに踏み込まない
5.口角を上げる
6.もし、ふと目があったときは微笑む
少し気を付ければできること。もし印象を高めたいときはこれらのポイントを気を付けてみてはいかがだろう。
■叱るときは「PNNP」で
医者が病気について説明するときに心がけている話法が、「PNP話法」だ。これはポジティブ(P)なことから入り、ネガティブ(N)なことを伝え、ポジティブ(P)で終わる手法である。
馬場氏は、PNPを使って少しアレンジした「PNNP話法」を心掛けているという。
1.労う(Positive)…いきなり叱りつけるより、まず日頃の労いをする。
2.訊ねる(Neutral)…馬場氏独自のもので、ニュートラルの「N」だ。本人の気持ちと状況が理解できていると、アドバイスが的確になるので、訊ねるようにするという。
3.注意する(Negative)…人格と言動を切り離して考え、人格は否定せず、言動だけを注意するように気をつける。また、注意はネチネチとしない。
4.明るく送り出す(Positive)…建設的なアドバイス、自分の経験談など、最後に期待や信頼を伝えると良いと馬場氏。
馬場氏は、1997年に日本テレビのアナウンサーとして入社し、2014年に退社するまで、報道、バラエティ、スポーツまで幅広く担当し、大阪芸術大学放送学科アナウンスコースの教授も務めている。
話し方のプロであるアナウンサー流の伝え方から、コミュニケーション術を学んでみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。