相手に与える自分の印象によって、商談や交渉事の成果から社内の立ち位置まで大きく変わる。
もちろん、中身も重要だ。しかし残念なことに、それだけでは思い描いた結果を得られないことも多い。服装や身なりを変えるだけで、事態は好転する。そう、ビジネスを制する男性はビジネスコーデも抜かりない。
しかし、オシャレに無頓着な立場からすると、「どんなコーデがいいのか分からない」「無理にいじって逆に悪くなるんじゃないか」という不安がよぎる。そこで強い味方になるのが、スタイリストの森井良行氏が執筆した『真似するだけで印象が劇的によくなる 38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社刊)だ。
■「いい見た目」の基本、「清潔感」の正体とは?
本書では、まず「いい見た目」の基本を知ることから始まる。では、好印象を与える見た目は何によってつくられるのか。著者が30年以上悩み、考えてきた結果、それは「清潔感」と「存在感」なのだそう。
では、「清潔感」と「存在感」とはどういうことか? それは次のように定義される。
「清潔感」=マイナス要素ゼロ
「存在感」=人の記憶に残る
「清潔感」はよく言われるが、それだけでは「不快感を持たれない人」止まりになってしまう。「存在感」をプラスすることで80点以上に見た目がつくれるという。
ともあれ、まずは「清潔感」の方である。一体「清潔感」ってどうすれば醸し出せるんだ。きれいな服をきればいいのか。そんな声が聞こえてきそうだ。
森井氏は「清潔感」=「清潔」ではないと語る。「マイナス要素ゼロ」というのは、シャツの襟や袖の先がピシッとアイロンがけしてある、袖口がほつれていない、靴がピカピカに磨かれているといった、細部までNG要素がない、つまり「残念なところがない」ことを言う。
■重要ポイント「シャツの襟先」をピシッと保つには
ここで特に気を付けたいのが「先端」だ。人は無意識に「シャツの襟先」「ジャケット袖先」「ネクタイの剣先」「靴のつま先&かかと」の4ポイントだ。本書ではそれぞれの整え方について具体的に説明されている。
たとえば「シャツの襟先」は相手と顔を合わせるたびに必ず目に入るポイント。なので、シャツの襟の裏にあるポケットに入れて、襟先の形状をピシッとしてくれる「カラーキーパー」というアイテムを使う。
特にクールビズの期間は、ノーネクタイで第一ボタンを開けてシャツを着るスタイルが主流だが、襟先が目立つのでカラーキーパーの再確認が大切だと森井氏はつづる。
ほかにも、第一ボタンを開けていると、シャツの襟裏まで目に入るが、ここが黄ばんでいる男性も多いという。要注意だ。シャツは色や柄に気を付けていればいいというわけではない。襟先、襟裏の手入れを徹底したいところである。
■「存在感」を出して記憶に残る人になる4つのポイント
好印象を与える2つ目の要素「存在感」にも触れておこう。清潔感があるだけでは人の記憶には残らない。そこで、清潔感に「何か」を加えて存在感を出すわけだ。
そのポイントは「色」「柄」「小物」「アウター」の4つ。
たとえば「色」は、人の記憶に残るポイントを取り入れる、いちばん手っ取り早い方法だ。
色彩心理学において色は「赤=情熱、活力」「青=誠実、知的」「むらさき=高貴、神秘」といった具合に、さまざまなイメージを持ち合わせている。醸し出したい印象に合わせて、色を取り入れることができるのだ。
また、その時は、「『アウター』『インナー』『パンツ』『靴』の4アイテムのうち、アクセントとして一か所だけに彩りが強い色を取り入れること」と森井氏はアドバイスする。この中でもおすすめは見た目の表面積が最も少ない「インナー」。秋冬であれば赤や青などのはっきりした色のセーターを着たりするなどして、アクセントを加えることができる。
本書ではこのように、どこに気を付ければいいのかを具体的に教えてくれる。また、シチュエーションや目的別で真似をすべきコーデもイラスト入りで紹介されているので、紳士服店に行って悩んでしまうということもなくなるはずだ。
印象が良くなれば、ビジネスにもプライベートにも大きな変化が出てくるはずだ。今まで服装に気を遣わず損をしていたのであれば、ここで本書を通して見直してみてほしい。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。