不動産投資家への不正融資問題が発覚したスルガ銀行は、6か月の一部業務停止命令を受けました。
この不正融資問題は、融資希望者の預金残高を改ざんするなどして、本来基準に満たない人にまで不正に融資を行っていたというもの。近年は保険や老後の年金代わりに投資用不動産を購入する人も多くいますが、「やっぱり危ない!」と警戒感を強めた人も少なくないでしょう。
ローンを利用して資産運用できることが、不動産投資の利点であることに間違いはありません。とはいえ多額の借金を背負うことには「本当に返済できるのか」という不安がつきまといます。
実際のところ、普通の会社員が安全に不動産投資を行うことは難しいのでしょうか?そんな率直な疑問に答えているのが、『実録マンガ 好きなように生きたくて不動産投資はじめました』(アスコム/刊)の著者、鈴木優平さんです。
鈴木さんは著書の中で、実際に不動産投資をはじめた会社員を紹介し、失敗の要因と成功のポイントを解説しています。
■目先の利益に飛びついてはダメ
ローンの返済計画が破綻する典型的な例が、新築物件を買いサブリース契約を結ぶケースです。
マンガの中にも、サブリース契約を結んだ不動産会社から「家賃を下げないと入居者が決まらない」と、想定外の家賃下げに直面して困惑する人が登場しています。この失敗の要因は「新築なら家賃を高めに設定しても借り手がつくんじゃないか」と目先のメリットに飛びついてしまったこと。
たしかに、新築物件は周辺相場より高めの家賃がつきますが、あっという間に相場並みに落ちつくのが普通。大事なのは「今の高い家賃」ではなく「将来の相場」です。
不動産投資は何十年にも及ぶ事業活動ですから、「何年後に、いくらの家賃収入がほしいか」というゴールから考えるべきなのです。
■お買い得な物件など存在しない
不動産の価格は上下しますから、今は割安なのか、割高なのか、いわゆる「買い時」が気になってしまいます。
マンガに出てくる会社員も、値下がりして損をしないかと疑問に思ったりしますが、不動産には買い時もお買い得物件も、ほとんどないというのが鈴木さんの考えです。賃貸物件の場合、家賃が取れる物件は高いし、そうでない物件は安くなります。賃貸需要が減っていく地域は全体に家賃も資産価値も落ちていくかもしれませんが、需要のある都心部なら安定しているといえます。例えば東京都内では、バブル期などに短期で大きく値動きがあったとしても、30年以上の長期で見れば緩やかに右肩上がりです。
短期売買で利ざやを稼ごうというなら値動きが気になりますが、それは投資ではなく投機。将来の収入源を作る目的で物件を持ち続けるなら、買い時は常に今だということです。
このような知識や経験が投資家側に足りないことが、金融機関や不動産会社の不正につながる側面があります。
これから不動産投資にトライしようという人は、不動産会社の言うことを鵜呑みにせず、「やってみた」人から実情を聞いておくことが大切かもしれません。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。