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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

転職活動、落とされる履歴書と面接の共通点…書いては(言っては)いけない志望動機

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント

「言い方」ひとつで印象は変わる

 最近では転職のアドバイザーという仕事が職業として確立され、履歴書の書き方や面接の対応方法を教える書籍やウェブサイトを多く見かけますが、それでも、あまり感心しない志望動機を書いてくる人がいます。いくつか、例を挙げてみます。

 まず、「とにかく会ってみればわかります」というもの。残念ながら採用担当者にはその時間がないのです。時間をとるべきかどうか書類の時点で判断するのが書類選考の目的です。会ってみると何がわかるのかを、きちんと文章で伝える必要があるでしょう。

 また、「御社の○○を評価します」というのも、好ましくありません。ビジネスを客観的に評価していただくことは、会社としては非常にありがたいことです。しかし、評価は採用活動以外の場で聞きたい話題です。要するに言い方の問題なのですが、たとえば「御社の○○事業は、市場の導入期にあり、主要な競合も少ない状況で、大きな成長性を感じる。私は、の○○という経験から、貴社の成長に寄与できる十分なスキルを持っていると考える」ではなく、「御社のサービスを新聞記事で読んで感動した。自分もこういうすばらしい仕事をやって、事業の成長に貢献したい。それには過去のの○○という経験が活かせると思うのだが、一度話を聞いてもらえないか」と書けば、同じことを言っていても、まったく印象が異なると思います。

 次は、「前の会社はひどい会社でした」という志望動機について考えてみます。

 転職するということは少なからず、不満があったはずです。しかし、どんな会社にも問題はあります。今さら不平不満を言っても、どうにもなりません。むしろ物事や人を見る目がないのではないか、と疑ってしまいます。人間関係の不満が書かれているものもよく見かけますが、こうしたトラブルはお互い様であり、本人にもそれを引き起こす原因が必ずあるものです。ですから、うちの会社の人間関係まで崩すのではないかと、余計な心配をしてしまいます。

「社長がワンマンで」、という指摘に関しては、どこの会社も社長は多かれ少なかれワンマンです。特に社長が創業者である場合には、そもそも自分がやりたくて始めた会社ですし、生き残って成長しているということは、業界の他の会社とは違ったやり方、つまり少し常識からは外れた仕事の仕方をしているはずです。もちろん、他人の話をまったく聞かず、指示だけしかしない社長もいますが、もしかするとただ単に社長とその人の考え方が違っているのを、ワンマンだと表現しているか、あるいは考え方をすり合わせる能力が不足しているとも捉えられます。

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

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