便座に座り「大」をしようと力むとすぐ肛門が切れる。トイレットペーパーで拭くと血がついている。歩いていても座っていてもお尻が痛い。
誰にも相談できず、ひそかに悩んでいる人が少なくないとされる「痔」。部位が部位だけに恥ずかしくてなかなか病院に行けない。行ったら「即手術」となりそうで怖い。こんな理由から一人で抱え込むと、ますます症状を悪化させてしまうことも。
確かに、「痔は切って(手術で)治す」というイメージがあります。でも、これは本当なのでしょうか。
■海外での「いぼ痔」の手術率は低い
『38万人を診た専門医が教える 自分で痔を治す方法』(アチーブメント出版刊)の著者で平田肛門科医院院長の平田雅彦さんは、痔に対する処置の日本と海外の違いについてこんなことを書いています。
――これほど痔の手術が盛んな国は、おそらく日本だけだと私は思います。というのも「痔は手術しないで治す」が世界の常識だからです。(P68より引用)
実際、痔の中でも一般的な「いぼ痔」の場合、先進国での手術率はドイツが7%、イギリスが5%、アメリカが4%と確率的にはかなり低いそう。もちろん手術が必要な痔もありますが、「ほとんどの痔は自然治癒力によって治すことができる」というのが平田さんの考え方だといいます。
というのも痔はある種の生活習慣病です。悪化させている生活習慣を見直し、三カ月ほど経過観察することで、症状の改善が見られるケースが多いのだとか。
では、痔を悪化させてしまう生活習慣とはどのようなものなのでしょうか。
■痔を悪化させる7つの要因
平田さんによると、痔を悪化させるとしているのは
・便秘と下痢
・飲酒
・女性の生理
・肉体疲労
・ストレス
・冷え
・長時間のデスクワーク
この7つ。全て取り除くことは難しいとしても、可能な限りこうした要因を遠ざけることが痔を切らずに治すために必要だと言います。
たとえば、食物繊維を多くとる食事と定期的な運動によって排便のコントロール(便秘や下痢の改善)をするだけで、痔による腸の脱出や出血が改善することがあるそう。実際、平田さんが患者386人を対象に行ったアンケートによると、排便のコントロールによって腸の脱出については31%が、出血については65%の人が改善したといいます。
いたずらに痔を恐れるのではなく、自分の痔の原因や種類を知り、生活改善をしたり病院で診察を受けることが大切です。
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どんな痔は手術が必要で、どの程度の症状なら手術なしで治るのか。本書はその見極めの指針も示しています。「もしかしたら」と思っている人は参考にしてみると自分の取るべき行動が見えてくるかもしれません。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。