普段意識することは多くないが、私たちは実にさまざまな「タブー」に囲まれて暮らしている。
箸で食べ物を刺して食べる「刺し箸」はダメ、といったマナーもタブーの一種だし、「イスラム教徒は豚を食べない」というような宗教的なタブーもある。また、アメリカでは民主主義に異を唱えるのは一種のタブー。これは政治的なタブーである。
『世界のタブー』(阿門禮著、集英社刊)はこのような私たちの世界に数知れずあるタブーに注目し、その起源に迫っていく。
■「13」という数字が不吉な理由
「13」という数字には不吉な意味合いがあるという説は、おそらく多くの人が映画『13日の金曜日』の影響で一度は耳にしたことがあるはず。主に西洋で「13」は忌み数とされ避けられる傾向があるのが知られているが、イスラーム圏にもこの数字を嫌う人はいるという。
この「13のタブー」の起源には諸説ある。イエス・キリストが処刑されたのが13日の金曜日だったという風聞もあれば、1970年のアメリカのアポロ計画におけるアポロ13号の事故と結びつける人もいる。
また13という数の不調和性が嫌われたのではないかとする説もある。
片手の親指で、親指以外の四本の指の関節の数は12。これを一通り数えると、もう片方の手の指を折る。すると両手で12を五回数えられるので60になる。こうして考えだされたのが60進法。13は12から1が余るので不調和だという理由で嫌われたのではないかとする説だ。
北欧のバイキングの神話で、12のいい神が集まっていたところにイタズラ好きで嘘つきなロキという悪い神が強引に入ってきたことで、ある神が去らなければならなくなる事態を招いたことを起源とする説も有名である。
普段何となく避けてしまっている13だが、その起源についての説にはさまざまなものがあるのだ。
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宗教についてのタブーや性についてのタブー、現代社会特有のタブーなど、あらゆるタブーに切り込む本書。理屈だけでは説明ができない文化の一側面を知ることができるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。