今よりももっと利益を出すにはどうすればいいのか。ほとんどの経営者や個人事業主がその悩みを抱えているはずです。
儲けをより大きく出す。その一つの解としてあげられるのが「価格」です。ただ、「価格」と聞くと「もっと商品(サービス)を安くして、量を売ろう(こなそう)」という発想になりがちです。そして実際、多くの経営者が「安売り」「セール」を連発して、逆にジリ貧になっていきます。そうならないようにするには、自分が商品やサービスの価格を決められる市場を創り出すことが大切です。
ジェトロ認定貿易アドバイザー(現AIBA認定貿易アドバイザー)の認定を受けている輸入ビジネスアドバイザーの大須賀祐さんが執筆した『価格はアナタが決めなさい。 輸入ビジネスに学ぶ儲かる仕組み』(集英社刊)は、自分で価格を決められるビジネスの創り方を伝授した一冊。
「価格」を決められる、ということは一体どういうことなのか? 本書の内容を見ていきましょう。
■「値決めこそが経営である」
本書で大須賀さんは「値決めこそが経営である」と断言しています。
ビジネスは「モノを売る」か「サービスを提供する」かのいずれか。その対価として顧客から代金をもらい、その代金からコストを差し引いたものが、「利益」となります。
問題はその「代金」です。いくらで売るのか、いくらでサービスを提供するのかによって、利益は変わります。
価格を安く設定すれば手に取られやすくなるかもしれませんが、そのぶん利幅も少なくなるので、より多くの量を売らないといけなくなります。その一方で価格を高くすれば利幅は広がりますが、消費者から手を取られにくくなるかもしれません。
ただ、商品力を高める、希少性を高めるなどの工夫をすれば、価格が高くても顧客は代金を払ってくれるはず。
儲けを最大限に出すということを考えれば、安売り一辺倒しかない道にいるよりも、価格をコントロールでき、高値をつけても売れるような立場にいたほうが経営的にも健全です。
■輸入ビジネスは「日本にない」市場を生み出すビジネス
とはいえ、今行っているビジネスで価格をコントロールできる立場に立つのは並大抵のことではありません。ここで大切なのは、今、日本にはない市場を創り出すことです。
大須賀さんはその一つの方法としてBtoB、つまり企業を相手に行う「輸入ビジネス」を提唱しています。海外から仕入れてきたものを、名うての上場企業や有名百貨店、大手通販会社がお客様に販売するという仕組みです。そのポイントは以下の3つ。
1.海外の展示会で商品を見つける。
2.独占販売権を取得する。
3.国内の展示会に出展する。
なぜ、インターネットではなく海外に赴く必要があるのかというと、ネット上にあるものは他の誰もが見つけることが可能だから。現地にはまだネットにも出回っていない未発掘の商品が数多くあり、それが日本にはない唯一無二の商品になりえます。
また、独占販売権はより確実な利益につなげるために必要。中小企業や個人レベルで独占販売権を獲得するのは大変そうに思えますが、多くの海外のメーカーが日本市場に参入したいと考えており、「実際には個人レベルで多くの人が、この獲得に成功している」と大須賀さんは述べます。
そして、価格を自分でつけて商品を日本国内で売るわけですが、ネットショップはBtoCになるため、売れれば売れるほど効率が悪くなると大須賀さん。そこで展示会に出展し、企業相手にビジネスを行うというわけです。
本書は特に中小企業や個人でビジネスを行っている人向けに書かれた一冊。「価格を決める立場になる」という考え方は、「そんなのは無理」と軽視されがちでしょう。
もちろん契約書や法律などの知識や、商品やサービスを選ぶ目利きのセンスなども必要になりますが、経営を安定させるための新規事業として、新しい市場を創造する「輸入ビジネス」は一つの手になるのかもしれません。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。