2013年からツイッターでイラストネタの投稿をスタートし、一気に火がついた大人気漫画『サラリーマン山崎シゲル』。その単行本シリーズ最新刊『サラリーマン山崎シゲル ep.5 ―銀河の危機―』が、4月24日にポニーキャニオンから発売された。
作者の田中光さんは、サンドウィッチマンや永野、カミナリなど人気芸人が多数在籍するグレープカンパニーに所属するお笑い芸人兼ギャグ漫画家。京都精華大学芸術学部で修練を積んだ画力を生かし、漫画の執筆だけでなく、企業タイアップや絵本出版など、多岐に活動の幅を広げている。そんな田中さんに、仕事術や、この先どんな野望を描いているのかなどについて話を聞いた。
大喜利の即興力でつかむ企業タイアップ
――漫画家としての活動が増えてから、かなり忙しそうですね。
田中光さん(以下、田中) はい、ありがたいことに。今の主な漫画の活動としては、『サラリーマン山崎シゲル』のSNSや、「めちゃコミック」での連載『この夫婦は、止まらない!!』などです。あとは山崎まさよしさんのファンクラブの会報誌でも描かせていただいたりしています。
――そのなかで、企業とのタイアップのお仕事も、いくつかこなしていますね。
田中 そうなんです。漫画を描き始めたときは、こういうかたちでお仕事を頂けるとは思っていませんでした。自分は京都出身なので、Jリーグの京都サンガF.C.さんとのタイアップは地元に貢献できているようでうれしいです。ホーム試合の告知漫画を楽しく描かせていただいています。あとは新しい製品が出るタイミングなどでタイアップのお仕事を頂くことが多いです。
――商品とのタイアップが本当に多いですよね。
田中 きちんとした印象の商品を、ちょっと柔らかく見せたいというご希望を頂くことが多いように思います。『サラリーマン山崎シゲル』のネタは緊張と緩和をつくりやすいシステムなので、そういった意味では使いやすいのかもしれません。最初にタイアップさせていただいた森永製菓さんも、“大企業”という重厚なイメージがありましたが、偉い方に「好きにやってください」と言ってもらえて気が楽になりました。現在は、日本映像ソフト協会さんのアンチリッピングのイラストや、KOKUYOさん、東京メトロさんともタイアップさせていただいています。
――普段の漫画とタイアップでは、つくり方に違いはありますか。
田中 そこまで大きくは変わらない気がします。ただ、自分が面白いと感じていることだけでつくってしまうと、消費者との間に温度差が生まれてしまうので、より多くの方に面白いと思ってもらえるようなネタを意識しています。あと最近は、企業の方との最初の打ち合わせのときに、その場でラフを描くようにしています。持ち帰って一人で考えるよりも、クライアントさんと『どっちのネタのほうが面白いですか?』などと話しながら提案していくほうが楽しいし、いいものができると思っています。
――その場で描くってすごいですね。芸人さんの即興の大喜利力がなせる技というところでしょうか。
田中 もともと、芸人としても人前に出てワーッと盛り上げたり、ひな壇でトークしたりというのが苦手だったんですが、大喜利はずっと好きだったんです。タイアップはいわゆる“お題”を頂けるので、どう面白くしていこうかと毎回燃えています。