頭ごなしに叱ったり、「仕事なんだから文句を言わずにやれ」とタスクを押しつけていればマネジメントができていた時代は終わり。今そんなことをしていたら部下と信頼関係を築くことができないばかりか、パワハラだと言われかねない。
これからは共感力のある上司が求められる。こんな風潮から部下と積極的にコミュニケーションを取ったり、部下の話を聞く大切さに多くの上司は気づいているはずだ。ただ、この「聞く」が意外に難しい。あなたの部下は、あなたに本音を話しているだろうか?
部下が本音を話さなくなる上司とは
『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?: 職場の心理的安全性が高まる本』(林健太郎著、三笠書房刊)は、今マネジメントで必要とされる「傾聴力」をテーマに、その本質と磨き方を解説する。
「傾聴」とは読んで字の如く相手の話に耳を傾けることだが、「話し方」と比べて「聞き方」を学ぶ場面は極めて少ない。だから、「部下の話を聞くことが大切なのはわかるが、何をどう聞けばいいのかわからない」となりやすい。
それゆえに、自分が良かれと思ったやり方で部下とコミュニケーションを取ろうとするのだが、間違った方向に行ってしまうことも多々ある。以下は、部下が本音を話さなくなる上司の話の聞き方だ。心当たりがある人は多いのではないだろうか?
行き当たりばったりに聞いている
単なる雑談であれば、上司はただ部下の話に耳を傾けていればいい。ただ、そこは仕事上のコミュニケーション。部下に話させつつ、手綱は上司が持っておくべき。部下の話を聞く時は「行き当たりばったり」ではダメなのだ。
これを避けるためには「ゴール」を設定しておくこと。
「部下の成長を促す」「心身の健康状態を確認する」「倫理観のない行動を是正する」など、その部下と話すうえでのゴールを決めて面談することで、部下にとっても上司にとっても有益な会話になる。
話の腰を折ってしまう
上司からすると、部下がする仕事の話は大体展開が読めてしまう。部下よりも経験を積んでいるのだから、これは当然だろう。
それゆえ、部下が話し終わらないうちに「それ、こういう話だよね」と結論を先取りしてしまう。つまり「知っている筋書き」を最後まで聞くことができずに話の腰を折ってしまう上司が多いのだ。そうなると部下はその先を話さなくなってしまう。
「あ、この話はこういう展開になるな」と察しがついても、口を挟むのをぐっと堪えて、まずは部下の話を最後まで聞いてみよう。もしかしたら予想外の展開が待っていて、そこに部下の本音があるかもしれないのだから。
「部下の愚痴なんて聞いている時間はない」と思っている
「部下の本音=愚痴」だと考えている上司もいる。こういう上司ほど「愚痴なんて聞くヒマはない」となりやすいのだが、ここも注意が必要だ。
仕事と関係のないプライベートな心配事や悩みがあるだけでも仕事のパフォーマンスが落ちてしまうのが人間というもの。だからこそ、たとえ愚痴であっても耳を傾けるべきだ。上司に思いの丈を聞いてもらったことで気持ちが軽くなり、仕事に集中できることだってあるのが人間なのである。
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「話を聞く」という行動は、誰でもできるようでいて、実は奥が深く、難しい。ただの雑談で終わらせてはいけない職場での会話であればなおさらだ。
もし、ここで取り上げた「部下が本音を話さなくなる上司」に当てはまっているなら要注意。部下と信頼関係を築き、成長させ、チームとして成果を出すためにも、本書を参考に部下とのコミュニケーション方法について模索してみてはいかがだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。