今や、定番のファーストフードとなったケンタッキー・フライドチキン(KFC)。店頭に立っている白いスーツを着てほほ笑むカーネル・サンダースの人形を見たことがないという人はそういないでしょう。
カーネルがKFCの仕事を立ち上げたのは、実は彼が65歳のとき。かなり高齢です。しかもそのときは無一文。月にもらえるのはわずか105ドルの年金のみでした。
カーネルは、かつて経営していたレストランの大人気メニューであったフライドチキンのつくり方と、秘伝のスパイスを他のレストランへ売ることにしました。しかも、買い取りではなくフライドチキンが売れた分だけ1ピースにつき数セントのロイヤリティをもらうという契約です。
しかし、老齢のおじいさんの飛び込み営業に応じる店はなかなかありません。
「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」「NO!」・・・
言われた「NO!」の数、なんと1009回。カーネルは「放り出された数は全米一」と自慢していたそうです。移動は自動車で、なけなしの年金でガソリンを買い、出費を抑えるために、寝場所は車の後部座席。とても、65歳のおじいさんの生活とは思えません。
その後、フランチャイズのアイデアを成功へと導き、73歳になる頃にはKFCのチェーン店は600を超え、アメリカ最大のフランチャイズレストランとなります。今や世界80ヶ国、1万店舗以上に広がる一大ファーストフードチェーンのKFCですが、カーネルは自身の成功について「自分に特別な才能があったとは思えない」と語っている通り、かつては職を転々としていました。しかし、その一つひとつで一生懸命働いたことが成功の要因だとインタビューで振りかえっていたそうです。
「できることはやれ」
「やるなら最善を尽くせ」
このたった2つが、カーネルの守ったルールでした。
「才能がないから」「仕事が上手くいかないから」「一度失敗したから」といって諦めてしまうのは簡単なこと。カーネルは「おいしいもので人を幸せにしたい」という情熱を燃やし続け、1009回もの「NO!」を言われながら、最後には大きな成功を手にすることができました。
このエピソードは、コピーライターのひすいこたろうさんが歴史上の人物の名言と、それにまつわる物語を紹介する『明日が見えないときキミに力をくれる言葉』(SBクリエイティブ/刊)の最初を飾るエピソードです。普通の人でも、情熱を燃やし、地道に続けること、成功を信じることで道は開けるのです。
本書では大ヒット小説『海賊と呼ばれた男』の主人公のモデルになった出光佐三の勇気溢れる名言や、孤独の中で育ってきたマイケル・ジャクソンの人間不信の心を溶かす言葉など、シンプルでカッコいい名言が揃っています。
1000回以上「NO!」と言われても、めげなかったカーネル・サンダース。成功を信じている人のところに、成功はやって来るという当たり前のことに気づかされるはずです。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。