企業が成長する過程では、社員の離職や売上の停滞など課題が次々と現れる。このような課題を解決する際、人に依存し過ぎない組織をつくることが重要、というのは経営者なら耳にタコができるほど聞いている話だろう。
従業員エンゲージメントを高める3要素
日本の企業では今、「エンゲージメント」が注目されている。エンゲージメントとは、従業員の会社への貢献度や、やる気を指す。この従業員のエンゲージメントを向上することで、離職率の低下、売上・利益の増加、労働生産性の向上、顧客満足度など、多くの効果が得ることができる、とされる。
『従業員エンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント』(中塚敏明著、クロスメディア・パブリッシング刊)の著者である中塚敏明氏は、離職率40%から従業員エンゲージメントをアップさせて人材難を解決し、社内の生産性もアップさせることに成功した。
本書では、人材に関する悩みを抱えている経営者やリーダーに向けて、従業員エンゲージメントの高め方や、人に頼り過ぎる能力開発をシステムで解決していく仕組みであるスキルマネジメントで、さまざまな問題を解決する方法を紹介する。
従業員エンゲージメントを高めるには、「理解度」「共感度」「行動意欲」の3要素がある。理解度は、組織の目指す方向性を理解し、それが正しいと信じていること。共感度は、組織、仲間に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っていること。行動意欲は、組織の成功のために求められる以上のことを進んでやろうとする意欲があること。
組織に対して、従業員が自ら抱くこれらの3つのポジティブな感情である理解度、共感度、行動意欲の相互作用によって、エンゲージメントは形成される。しかし、従業員自身の努力だけで、これらの要素を高められるとは限らない。個人と会社の目指す方向性のすり合わせなくしては従業員のエンゲージメントは成り立たないからだ。
なので、エンゲージメントを高めるコツは、組織を整えること。その仕組みづくりをすることで、社員側に会社の目指す方向性を具体的に理解して支持する気持ちや帰属性が高まる。そして、やがて全社員の士気が揃い、一人ひとりの貢献意識と行動の積み重ねが集合体となり、会社のカルチャーがつくられていくのだ。
人を育成するのは人ではなく、仕組みであること。それにより、従業員エンゲージメントを向上させていくことで、離職率の低下や売上の向上につながっていく。人材に関することで悩み、組織改善を目指している経営者やリーダーの人は、本書からその考え方やヒントが得られるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。