夜眠れない。日中ボーッとしてしまう。というように睡眠がしっかり取れていないと、仕事にも影響してしまうもの。ぐっすり眠り、昼間最高のパフォーマンスを発揮するには、睡眠が重要になる。睡眠は量より質。その質は習慣からつくられる。
2万人を治療した睡眠専門医が教える「ぐっすり眠れる習慣」
『ぐっすり眠る習慣』(白濱龍太郎著、アスコム刊)では、これまで2万人の睡眠に悩む人を治療してきた睡眠専門医の白濱龍太郎氏が、睡眠のメカニズムから、睡眠にいいちょっとした動作・食事・メンタルまで医学的知見にもとづいた情報をもとに、「ぐっすり眠る」ための習慣術を紹介する。
睡眠の質を良くするには、ぐっすり眠るのにいい行動を知り、習慣づけてしまうのが一番いい。たとえば、寝る前の軽いストレッチ。ストレッチには、動的ストレッチというラジオ体操のように反動をつけて筋肉を伸張するものと、静止した状態で筋肉を伸ばす静的ストレッチがある。前者は交感神経を優位し、後者は副交感神経が優位に働きやすくなり、リラックスした状態になる。
就寝前のストレッチには、静的ストレッチが効果的だ。ふとんの上で仰向けになり、深呼吸しながら足首をゆっくり手前に曲げて再び戻す動作を1分ほど行うだけでも効果がある。それにより、足の血行を促進し、深部体温を下げることができる。呼吸は止めず、ゆっくり息を吐くことで、より副交感神経に働きかけることができ、熟睡効果が高まるという。
寝る前の静的ストレッチに加え、近所を散歩するなどの日中の適度な運動も大切。ウォーキングのようなリズミカルな反復運動は、セロトニンの分泌を促すことがわかっている。夜にはセロトニンをもとにメラトニンが作られるので、不眠症の改善に役立つ。
また、日中に眠くなってしまった際、コーヒーを飲んで眠気覚ましをする人も多いだろう。この眠気覚ましのコーヒーは、ホットとアイスでは効果に差がある。カフェインによる覚醒効果が早く出るのは、ホットコーヒーなのだそう。
カフェインの血中濃度が最大になるまでの時間は、ホットコーヒーのほうがアイスコーヒーより早い。その理由は、ホットコーヒーのほうが、カフェインの含有量が多いからだ。そして、冷たい飲み物だと、小腸の粘膜にある毛細血管の収縮や胃の運動の低下が起きるため吸収がされにくいことがある。ただし、カフェインが切れると、眠気が生じたり、集中力が減少したりという「カフェインクラッシュ」と呼ばれる現象があるので、コーヒーは加減して飲まないといけない。
眠っている時間は空白の時間ではなく、日中のパフォーマンスを上げるためのメンテナンス時間。自分への投資の時間として捉えることで、睡眠への考え方も変わるはず。眠りが浅い、昼間の調子が上がらない、という人は、睡眠の質を改善することを考えてみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。