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成績トップ5%の営業担当者に共通のメンタル&頑張り方…新規顧客開拓は3割でよい

新刊JP
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※画像は新刊JPより。

 上手くいく月もあれば、まったく結果が出ない月もある。なかなか安定した成果を出せずに悩んでいるセールスも多いだろう。その一方でいつでも安定して目標を達成し続けるセールスがいる。いわゆる「トップセールス」といわれる存在だ。なぜ彼らは成果を出し続けることができるのか。

 ベストセラー「トップ5%」シリーズの最新刊『AI分析でわかった トップ5%セールスの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)のテーマは、タイトルの通り「セールス」だ。本書では「3年連続で目標を達成し続けて、かつ社内の営業成績がトップ5%に入っている人」をトップ5%セールスと定義。行動や言葉をAIで分析しながら、彼らに共通している習慣をあぶり出す。

 著者の越川慎司さんへのインタビュー後編では、5%セールスのメンタルマネジメント術や顧客から信頼される秘密を解き明かしていく。(新刊JP編集部)

※越川慎司さんインタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)。
https://www.sinkan.jp/news/11380

トップ5%セールスが顧客から信頼を得られる理由とは?

――5%セールスの特徴についてマインド面について共通する部分はありましたか?

越川:先ほど、彼らは仕事を実験と考えていると言いましたが、それってようはゲーム感覚で楽しんでいるということなんですね。自分で課題を見つけて、自分でスキルを磨き、たまに休息をして、いろんな人を自分のチーム(パーティー)に巻き込む。これはまさにロールプレイングゲームです。失敗して体力が減れば宿屋で休んでHPを回復させればいいし、もし敵が強いなら違う武器を持っていけばいい。一人では無理ならパーティーで立ち向かうというのも、ロールプレイングゲームの感覚ですよね。

――確かにゲームと考えると、成功や失敗に対するハードルが一気に下がりますね。

越川:それにボスを倒していくのも大事だけど、レベル上げも楽しいじゃないですか。新しい魔法を覚えたり、仲間が増えたりして。そういうプロセスを楽しむ特徴は5%セールスに共通しています。

――メンタルコントロールの部分ではいかがですか。やはり自己肯定感が高い人が5%セールスには多いのでしょうか。

越川:自己肯定感が高いというよりは、自己効力感が高い人が多いように思います。「自分にはこんな力があるんだ」と自己認識しているということですね。それはやはり「ローリスク・ローリターン」の中で実験を重ねてきたからこそでしょう。

 また、5%セールスは感情のコントロールが上手で、一喜一憂をあまりしません。それはなぜかというと、期待値をそんなに高く設定していないからです。自分に対しても、顧客に対しても、もっと言うと上司に対しても期待値は上げない。そういったマインド面での共通点がありますね。

――顧客との関係づくりにおいては「共感・共創」がキーワードとして登場します。パートナー関係を築くことに苦しんでいる95%セールスと、上手く関係が築けている5%セールスはどんなところが違うのでしょうか。

越川:一つ目は、95%セールスは「お客様に製品を売る」と考えていることが多く、いわゆるプロダクトアウトの発想なんです。一方の5%セールスは顧客と対等の立場で課題を解決することを目標にする。つまり、顧客との共感から始まり、そのニーズに合わせて顧客ファーストの「商品」にカスタマイズするんですね。そこは大きな違いです。

 二つ目は、売った先のことをしっかり見ているかどうかです。5%セールスはアップセル、クロスセルを狙っていて、継続して売上を出し続けようとします。1回の商談で終わらず、その先を常に見据えているということが特徴です。

 一方で新規顧客に対する期待値は低く、新規を獲得できるかどうかの7割は運だとも言っています。だから、既存顧客からもらえるレベニューを上げることに7割くらい力を入れていて、新規顧客の開拓は3割程度とも話していました。これはB2BでもB2Cでも変わりません。

――そうなると、顧客と良好な関係を保っていくことが求められるわけですが、本書に書かれていた「顧客をヒーローにする」ということも非常に大切ですね。

越川:そうですね。自分の営業成績よりも顧客の評価を高めることが第一優先であると考える5%セールスは多いです。例えば、購入を決定した顧客が社内で表彰をされるようにサポートをしたり、「購入者の声」や「導入事例」などに登場してもらったりして、顧客の上司からの評価を上げたり、ご家族から喜ばれるようにしたりするんですね。

 5%セールスは視点が常に社外に向いています。自分の上司に気に入られることよりも、顧客が何に悩んでいるのか、どのように課題を解決していくかを考えていて、顧客を嬉しがらせるにはどうすればいいんだろうという気持ちが中心にあるのだと思います。

――新年度が始まって少し経ちます。本書の内容は初めてセールスの仕事をする人や新社会人にとっても役立つ内容だと思うのですが、そういった人に特に意識してほしい5%セールスの行動・習慣はありますか?

越川:もうこれ以上頑張らないでください、と伝えたいです。4~5月はどうしてもスタートダッシュを決めようとエネルギーを使いがちです。でも結局は最初の1、2カ月でエネルギーが切れてしまって、トーンダウンしてしまうというパターンが多い。だから、あまり頑張りすぎないことが大切だと思います。

 ただ、頑張らなくてもいいというわけではありません。正しい頑張り方をして欲しいのです。特に新社会人はこれから長いキャリアが始まります。100メートルの短距離走ではなく、フルマラソンと考えて最初から突っ走らずに、まずは「ローリスク・ローリターン」でナレッジや経験、信頼を積み重ねていくことが、結果的にケイパビリティを高めることにつながると思いますね。

――5%セールスの無理をせずに結果を出し続けていくための習慣は誰でもすぐに実践できそうなものばかりですね。

越川:この「トップ5%社員」シリーズの感想で、毎回「5%社員ってそんなに大したことをやっていませんよね」というコメントをいただきます。まさにその通りで、私もこの5%セールスについて読み直したときに、彼らは特別なことをやっていないことに気づきました。でも、それで成果を出し続けています。

 では、彼らの何がすごいのかというと、行動継続力です。実践し続ける。これが一番のポイントだと思います。今回は5%セールスの特徴の再現実験に力を入れていて、2万1千人の95%セールスに、5%セールスの習慣や行動を3年半にわたって取り入れてもらったんです。そうしたら成約率がどんどん上がっていき、平均で成約率が20%以上アップしました。当たり前のことを当たり前にやり続けることが一番の近道なんです。

――その「当たり前」ができないのはなぜなのでしょうか。

越川:感情のブレや期待値の高さ、失敗への恐れなど要因はたくさんあります。その意味では、期待値を下げる「ローリスク・ローリターン」の積み重ねであったり、失敗を「学び」としてとらえる「小さな行動実験」といった習慣は、行動を続けるうえでとても重要です。

 ただ、いくら結果が出るからといって、本書の内容を一気やろうとするのは、バテてしまうのでおすすめできません。この中から自分に合うものを見つけて、一個ずつ実践していきながら「ローリスク・ローリターン」でナレッジや経験を積み上げていってほしいですね。

――なかなか成果が出なくて焦っていたり、もう一歩成長したいと思っている95%セールスに向けてメッセージをお願いします。

越川:実はこのインタビューの直前にも、5%セールスにお話をうかがっていたのですが、すごく刺激を受けたんです。彼は「不安はチャンスです」と言っていたんですよ。なぜこの言葉が響いたか、その理由が二つあります。一つは、彼らが「不安」を過去に対する後悔ではなく、未来に向けた感情として捉えているんです。不安があるから備えられるし、不安があるから顧客や製品のことを知りたいと思う。不安を持つことは未来のために良いことだと考えているんですね。

 二つ目は、セールスは不安を持っていることが当たり前だということです。それはなぜかというと、新しいことに挑戦しているからなんですよね。これは決してネガティブな不安ではなく、むしろポジティブなものです。

 自己否定に陥ると行動が止まります。ですから、不安を感じている自分を認めてあげて、しっかり備える。「ローリスク・ローリターン」で小さな実験を積み重ねて「学び」を得ていく。どんなセールスでも不安を感じているものですが、5%セールスは不安を原動力にして実験を継続する力に変えています。だから、この本を読んで少しでも肩の荷を下ろして、成果を出すための一歩を踏み出してほしいですね。(了)

(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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