投資の必要性はわかっているし、興味もある。資金もある。しかし、日々の仕事に忙殺されるなかでなかなか投資についての勉強ができないという人は少なくないはず。「医師」もきっとそんな層に入るはずだ。収入はあるが仕事があまりにも多忙で投資について学ぶ時間がない。『収益と節税力を最大化 医師の不動産投資超入門』(パノラボ刊)はそんな医師のための不動産投資の入門書だ。
本書によると、収入が高いものの多忙な医師には不動産投資が向いているそう。そのメリットと具体的なやり方について、著者の森田潤さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。
※インタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)。
不動産投資で得られる節税効果は大きい
――不動産投資は確かに医師に向いていると感じました。ただ、そもそも高収入を得ている医師が「転ばぬ先の杖」として安心できるような額のお金を不動産投資で稼ぐには、かなり大規模にやらないといけないのではないかという疑問も残ります。この点についてはいかがでしょうか。
森田:どのくらいの資産を築いたら安心かは人によりますが、不動産投資ってローンを組んで物件を購入して、そこから入る家賃収入でローンを返済していく、という「他力本願」の投資なんです。物件の購入もローンの返済も自分の懐をほとんど痛めずに他人の資本で行って、返済が終われば賃料は自分のものになって、手元にお金が残っていく。
これと同じくらいのお金を預金できるかといったら、ほとんどの方はできないんですよ。それならば、銀行が低金利で貸してくれるお金で物件を買って、ローンは賃料収入で返して、どこかのタイミングで売却して売買益を確定させたり、そのまま賃料収入を得続けたりしたほうがいいはずです。
それに今の不動産は亡くなったり就業不能になった場合はローンを返さなくていいという保険に入っていただくので、多額の所得控除がきく生命保険として考えられます。たとえば月々10万円、年額120万円の支払いで、亡くなった時に5000万円もらえる生命保険があったとしますよね。支払いに年間120万円もかかっているのに、サラリーマンだと控除できる金額って4万円までなんですよ。
――そうですね。
森田:でも、不動産投資はローン返済に賃料収入を充てていれば自分の持ち出しは月に5000円ほどに収まることは珍しくありません。年間6万円です。それで購入した物件が2000万円であれば次の年の確定申告で120万円から130万円くらいの控除を受けられます。
普通の生命保険で120万円の控除を受けるためには20年かかりますが、不動産だったら1年です。だから給与所得と不動産所得という2つの収入元をつくっておくことで節税になる。
ローンの返済中は手元にあまりお金は残りませんが、毎年確定申告をすることによって給与所得しかなかった時期は年間300万円前後納めていた税金が100万円ほどで済むことになります。結果的に可処分所得が200万円増えるわけです。これも含めて「不動産投資」なんです。
――不動産投資は手間がかからないとされていました。実際に医師が不動産投資をするとして、どんなところにどれくらい時間を使うかについて教えていただければと思います。
森田:一番面倒なのはやはり毎年の確定申告の準備ですよね。様々な情報収集から書類の準備まで、やはり多忙なので、特に独身だと大変かもしれません。それで「不動産投資は面倒くさい」と思ってしまう人も中にはいらっしゃいます。
それもあって我々が会社として、本人の負担にならないような仕組み作りをしていく必要があると考えています。
――具体的にどんな準備が必要なのですか?
森田:たとえば収入証明です。直近3年分の収入証明を銀行に提出しないといけないのですが、先ほどのお話にもあったように様々な病院に外勤に出ているお医者さんだと、それぞれから源泉徴収票や支払調書をもらってこないといけません。
多忙な中でこれをやるのは大変で、人によっては紛失してしまったりすることもあります。ただ、逆にいえば負担になるのはそこだけだともいえます。
――賃貸運営自体はさほど手間はかからないということですか?
森田:まったくかかりません。
――不動産投資をしている医師がどのような物件を買ってどのように運営しているかのモデルがありましたら教えていただきたいです。
森田:私が担当しているお医者さんの例を出すと、都心のワンルームマンションを少しずつ買い足していって、今全部で7物件持っている方がいます。このくらいの規模感が多いですね。
基本的には中古物件を購入することをおすすめしていて、物件1つあたり2000万円ほどですから、1憶5000万円くらいです。それをフルローンで購入して、賃貸として人に貸し出すという方法です。
――月のローン返済はどのくらいになるんですか?
森田:その方の例ですと、全物件の返済額が月に51万円で、賃料収入が55万円です。マンションの管理修繕費が出ていくお金としてあるので、毎月持ち出しになるのは2万2千円ほどです。
――毎月2万円ほどなんですね。それで返済が終われば後はお金が残っていくという。
森田:そうですね。この方の話でいうと、昨年までは不動産投資をやっていなかったので、給与が1500万円ほどあって、源泉徴収で引かれるのが250万円ほど。ブラス住民税等で年間の税金が350万円ほどありました。
それが不動産投資を始めて、先ほどお話しした節税効果で納税額がトータルで220万円ほどになりましたから節税上の効果は大きいですよね。
――最後に、不動産投資を考えている医師、あるいは何かいい投資はないか考えている医師の方々にメッセージをお願いいたします。
森田:東京の新築価格が上がってきて、物価も上昇していて、という流れのなかで、新築物件の需要はあるわけですが、高い新築物件を何も考えずに買ってしまうのは、不動産投資の入り口としてはナンセンスだと私は考えています。
不動産投資に関しては、中古を買うことで購入価格を抑えながら、賃貸収入を見込めて、将来的に売却したいときは売却できる、という物件は必ずあります。知り合いだとか関係がある業者だからという理由で簡単に購入を決めずに比較検討して購入する物件を決めていただきたいと思います。
あとは「買ってもらったからおしまい」ではなく、アフターフォローも含めて将来的な「売却」という出口まで寄り添ってくれる不動産販売会社と付きあっていくこと。それと、物件を買う時は「いち営業マン」から買うのではなく、社長から買いなさいということもお伝えしたいです。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
※森田潤さんインタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)。
https://www.sinkan.jp/news/11373