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今年22年、値上がりする株銘柄の予想に役立つ意外な情報…シニアは儲けやすい?

文=島野清志/評論家
岸田首相
岸田首相(「自民党 HP」より)

 どうにか沈静化すると思いきや、新手の変異種オミクロン型が登場して2021年もまた新型コロナウイルスに翻弄されて終わる形になった。今年も、引き続きその動向に世界は揺さぶられることになるのだろう。2022年はこの三文字に加えて、もうひとつ四文字の懸念されるキーワードが急浮上する模様だ。

「袋の中からインフレが始まっている」

 自粛明けの個人投資家との会食で聞いた言葉だ。巧みな表現に頷いてしまったが、実感している方は多いのではないか。諸物価の高騰が続き、すでにその認識が一般化している米国や欧州と比較すれば、国内の物価は落ち着いているように映る。しかし、ガソリン、灯油など生活必需品の価格上昇は始まっており、シュリンクフレーションと呼ばれる、価格は据え置くものの容量自体を徐々に減らしていく、事実上の値上げは食品を中心に進行している。

 もとより経済、景況にとってインフレは悪玉視するべきものではない。物価の上昇は企業収益の向上に寄与することになり、結果的には幅広い人々に分配の果実をもたらす可能性はある。ただし、これは適度なインフレという前提があり、過ぎたるは猶及ばざるがごとし、急激なインフレは災厄に等しい。さらに景気後退との組み合わせになるスタグフレーションにでも陥れば、日々の生活に追われる階層の暮らし向きをいっそう深刻化させることはいうまでもない。

 気がかりな2つのキーワードに覆われたまま幕が開く、2022年の経済予測は例年にも増して難しい。いずれにも強い影響を受ける株式市場に関しては、なおさらである。

「22年は70代以上のシニア投資家が利益をあげやすいのではないか。なぜならインフレを体験しているからだ」(経営者でもある80代の投資家)

 この見方を参考にして、過去の経験則すなわちアノマリーに基づいて投資のヒントを拾っていくのが妥当なところだろうか。

宏池会は理念を持つ派閥

 年末年始に取り上げられることが多い、干支や主要各国の重要日程(国政選挙・オリンピック等大規模イベント等)を基準にした騰落率及びその分析は、経済紙誌にお任せして、ここは別の角度から探ってみたい。素材になるのは昨年の政権交代である。岸田文雄首相は自民党の老舗派閥宏池会の代表だが、過去同派からは4人(池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一)が政権を担った。

 通算すると10年近くになる宏池会政権下で、急騰を演じた銘柄は次のようになる。いわゆる仕手株の全盛期と重なるために、当時ならではのものも含まれるが、経済面での相似が指摘される1970年代後半や、バブル崩壊の初期局面だった1990年代初頭の顔触れを見ると、中堅製薬や環境関連と現在のテーマに則しているものも目立つ。宏池会は理念を持つ派閥とされ、政策の継続性も見られるだけに、単なるアノマリーとばかりは決めつけられないのではないか。

【過去の宏池会政権時の年間値上がり率10傑銘柄】

・1960年:(1)大隈鉄工所(現オークマ)、(2)豊田工機(ジェイテクト)、(3)日本電装(デンソー)、(5)聯合紙器(レンゴー)、(8)芝浦機械

・1961年:(6)近畿車輛、(8)日本車輌、(9)東洋製罐(東洋製罐グループHD)、(10)神鋼電機(シンフォニアテクノロジー)

・1962年:(1)蝶理、(2)共和レザー、(3)わかもと製薬、(4)興国化学(アキレス)、(6)富士急行、(7)旭化成、(8)日本理研ゴム(オカモト)、(9)東京都競馬

・1963年:(1)東邦亜鉛、(2)勧業銀行(みずほFG)、(5)住友銀行(三井住友FG)、(6)三和銀行(三菱UFJFG)、(7)東海銀行(同左)、(8)日本甜菜製糖、(9)昭和電工、(10)三井化学

・1978年:(1)科研化学(科研製薬)、(2)関東電化工業、(5)黒崎窯業(黒崎播磨)、(7)合同製鐵、(8)堺化学工業、(9)第一工業製薬、(10)藤田観光

・1979年:(1)ラサ工業、(2)日本石油(ENEOSHD)(3)西華産業(4)同和鉱業(DOWAHD)(5)松島興産(三井松島HD)(9)丸善石油(コスモエネルギーHD)

・1980年:(1)宮地鐵工所(宮地エンジニアリングG)(3)帝国繊維(4)石井鐵工所(5)関東電化工業(6)塚本商事(ツカモトコーポレーション)(7)大同工業(8)日本カーボン(9)日本ビクター(JVCケンウッドHD)(10)田辺製薬(田辺三菱製薬)

・1981年:(1)小野薬品工業、(3)大日本製薬(大日本住友製薬)、(4)いすゞ自動車、(5)鈴木自動車(スズキ)、(6)日立製作所、(8)住友金属鉱山、(9)藤倉電線(フジクラ)、(10)酒井重工業

・1991年:(1)日本カーボン、(2)合同酒精(オエノンHD)、(3)中国塗料、(4)昭和シェル石油(出光興産)、(6)ナイガイ、(7)タクマ、(9)日本農薬

・1992年:(2)稲畑産業、(3)KOA、(4)ユニ・チャーム、(5)キッセイ薬品工業、(6)住建産業(ウッドワン)、(9)スズキ、(10)フタバ産業

※()内数字は順位。社名末尾の()内は現在の上場社名で現在までに倒産、非上場、吸収合併及び当時と業態を著しく転換したものは除外した。

(文=島野清志/評論家)

島野清志/経済評論家

島野清志/経済評論家

1960年生まれ、東京都出身。経済評論家。早稲田大学社会科学部中退後、公社債新聞記者、一吉証券(現いちよし証券)経済研究所を経て92年に独立。以降、教育をはじめ、経済、株式などについての著述、評論活動をおこなう。93年から続く『危ない大学・消える大学』シリーズのほか、『この会社が危ない』『この会社が勝つ』『就職でトクする大学・損する大学ランキング』各シリーズ(共にエール出版社)など著書は100冊を超える。

Twitter:@simanokiyosi

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