「売れる営業マン」と「さして見た目は良くないのになぜかモテる人」の共通点は何だろうか? 巧みな話術。気づかい、心配り。どちらも大切だが、本質的ではない。両者の共通点は「安心感」だ。言い換えると、人が誰でも持っている「あまり知らない人への警戒感」を解くのがうまいのだ。「心のガード」を外す名人なのである。
誰も知らない「コミュニケーションの正体」
コミュニケーションに関する本では、相手を楽しませる雑談や、場を和ませる話術について知ることができるが、どんなに雑談がうまくても相手の心のガードを外すことはできない。『思い通りに相手を操る心のガードの外し方』(Dr.ヒロ著、フォレスト出版刊)によると、そのカギはむしろ雑談や話術以外のところにあるといっていい。「メラビアンの法則」を知っているだろうか。
これはコミュニケーションにおいて、「視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%の順で印象が決まる」という法則。どれほど言葉を弄しても、それが相手からの印象に与えるのはたった7%なのである。だから「コミュニケーション力」とは、論理的に話す力ではないし、話の引き出しが豊富にあることでもない。それらも大事ではあるがあくまで「7%」の部分であり、見た目を磨いたり、聞きやすい声で話すことを覚えたりする方が、はるかにコミュニケーション力が向上することになる。相手の心のガードを外すためには、「何を話すか」より重要なことはたくさんあるのだ。
「何を話すか」よりも「誰が話すか」
コミュニケーションにおいて「何を話すか」よりも優先度が高いこと。第一に「誰が話すか」である。これは先述のように「見た目」や「声」にかかわることである。
極論に聞こえるかもしれませんが、視覚情報・聴覚情報が優れている人が言うことは大抵受け入れられます。(P53より)
見た目や声で好感を持たれる人は、発言の内容が多少凡庸であっても聞き入れてもらいやすい。心のガードを外せる人は、つまるところこういう人なのだ。次いで「なぜ話すか」も重要だ。美男美女であれば何を言っても受け入れられるわけではない。悪意があったり、相手を見下す意図が垣間見えれば、もちろん受け入れられない。
悪意もなく、だます意図もなく、自分だけが得をしようとする意図もない。そうした率直さもまた、言葉そのものというより態度やしぐさにあらわれるもの。これらもまた、相手の心のガードを解く一要素なのである。
◇
「誰が話すか」「なぜ話すか」これらは、コミュニケーションにおいて「何を話すか」「どう話すか」よりも重要であり、まずはこちらを身に着ける方が、相手に受け入れられるコミュニケーションをする上で近道となる。ただ、言葉そのものがどうでもいいというわけでもない。それらは主に、相手の心理を誘導したり、説得したりするのに大きな効力を発揮するからである。本書では言語・非言語にまたがるコミュニケーションとその効力について事例を交えて解説していく。
気になる異性といつまでも友達どまりの人。アポは取りつけられるのに、契約まで至らない人。プレゼンテーションで聴衆を惹きつけるのが苦手な人。本書の内容が役立つ人は多いはずだ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。