そこで今回、女性の活躍を推進するコンサルティング・研修を手がけるWoomaxの代表で、『なぜ女性部下から突然辞表を出されるのか』(幻冬舎経営者新書)の著者である竹之内幸子氏に、女性部下と男性上司の問題について話を聞きました。
●女性が働きやすい職場をつくるのは上司の役目
–女性部下の活用は、どの会社でも喫緊の課題ですね。
竹之内幸子氏(以下、竹之内) はい。女性が働き続けることができるように、社内の制度を整えることも大切ですが、女性がその特性を生かし、組織で活躍するようになる、つまり、組織の女性活用・女性活躍推進が成功するかどうかは、実は女性の直属の上司にかかっていると考えています。
–女性活躍のため、上司に必要な能力とは、どのようなものが挙げられますか?
竹之内 まずは、女性部下との信頼関係を築くことが大切です。そのために上司は、組織で女性活躍を推進する意義、個々の特性や能力、成長を考えながら伸ばしていくプロセスを理解している必要があります。
–信頼関係を築くまでが大変そうですが、働く環境は社員が能力を発揮する上で大切な要素ですから、働きやすい環境をつくれる上司がいれば、女性の活躍できる場は広がることでしょう。半面、女性社員を「ウンザリ」させる上司とは、どのようなタイプでしょうか?
竹之内 まず「体育会系上司」は嫌がられる傾向にあります。特に、精神論や根性論が大好きで、上下関係を重視する体育会系上司は要注意です。評価の基準が「気合」ですから、残業することが仕事への熱意を示すバロメーターと捉えています。感情を重視する女性部下でも、体育会系上司の発言の根拠のなさには共感ポイントが見いだせず、“退部届”を出したくなるでしょう。
次に、部下をまるで将棋やチェスの駒のように扱い、意のままに操ろうとする上司。「部下は上司の言うことを聞いて当然」と考えていますから、部下の仕事に対して感謝の気持ちもありません。駒扱いされた女性部下は、そっぽを向きます。
ほかには、やたらと「~しなければならない」「~すべきである」という言葉を使い、修行のような仕事を課す上司も要注意です。「~しなければならない」という言葉には、「崇高な使命を帯びている」と思わせる効果があるので、責任感の強い上司は好んで使うきらいがあります。しかし、女性部下は、「したくないことを無理にしないで、違う方法を考えればいい。しなければならない、という考え方は押しつけがましい」と思っているかもしれません。
人の話に耳を傾けず、自分の話ばかりする上司も嫌われます。自分の話したいことを一方的に話し、部下に拝聴させる上司です。過去の武勇伝をひけらかし、歴史上の偉人と自分を照らし合わせてみたり、難しい言葉を好んで使ったりします。自分が話している時には部下に相づち(賞賛)を強要し、部下の話には耳を傾けませんから、女性社員のストレスは溜まる一方です。
『なぜ女性部下から突然辞表を出されるのか』 女性の社会進出が進む一方、女性部下の扱いに悩む男性上司が増えている。女性活躍推進コンサルタントとして、男性上司向けのセミナーを行う著者が、上手なコミュニケーション術と女性活躍支援の重要性を伝える。