言うことがコロコロ変わったり、真面目に相談しているのに上の空で聞いていたり、部下が必死に仕事をしていても、何もせずにふんぞり返っている上司。このように仕事や部下に対して誠実さが欠けている上司を信頼することはできません。
何よりも重要な問題は、コミュニケーションの断絶にあります。これらのどのタイプの上司も、自分の意見を押し付けるばかりで、部下とコミュニケーションが取れていないのです。
–このような上司の下では、仕事もうまく進まないでしょうね。
竹之内 女性はクチコミが好きなので、女性部下ひとりにでも「ウンザリする」上司と思われてしまうと、その評価は一気にチーム、部署、そして社内全体に広まる可能性があります。
縦のつながりよりも横のつながりを重視する女性は、情報ネットワークを構築していて、悪い噂ほど、あっという間に広まってしまいます。こうなってしまうと、本人との信頼関係回復はもちろん、周囲にも誤解を解く必要が出て、大変な労力がかかります。
上司が、女性部下に「ウンザリ」と思われたりクチコミで「最悪上司」の烙印を押されてしまった場合、その後に懐柔しようとして耳障りのよい言葉を並べたり昇進のチャンスを与えても、のれんに腕押しとなってしまうでしょう。ここに出てきたタイプの上司を反面教師とし、女性部下と上手にコミュニケーションを取っていきたいものです。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)
●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。
『なぜ女性部下から突然辞表を出されるのか』 女性の社会進出が進む一方、女性部下の扱いに悩む男性上司が増えている。女性活躍推進コンサルタントとして、男性上司向けのセミナーを行う著者が、上手なコミュニケーション術と女性活躍支援の重要性を伝える。