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【対談】岩瀬大輔・中川淳一郎「仕事がデキない人の条件」

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仕事に対する妙な幻想

岩瀬 う~ん、なんかいびつな感じがしてしまうんですよね。
 
 ある学生さんの例なんですが、彼は去年、ちゃんと某金融機関で内定を取っていたんですね。でも、「その会社だと、10年は働かないと自分の意見なんてまったく聞き入れてもらえない。そう思ったから内定を断りました」なんて言うんです。それで就職浪人をしたと。さらに、ウチの会社にも興味がある、とか言うもんですから「ウチに来たら、すぐに意見を聞いてもらえると思っていますか?」と苦笑しながら返しました。

 その彼に「どうして10年働かないと聞いてもらえないことがわかったの?」と尋ねたところ、「10年目くらいの人と、2時間くらい話をしました」って、たった1人から聞いた情報だけで内定を蹴ったのか、と驚きまして。職場とか仕事に、妙な幻想を持ちすぎている人が増えているのかもしれません。

中川 「ほかにもっといい仕事があるはずだ」という発想で、仕事を選り好みしすぎている印象はありますよね。オレたちの世代だと、もう少し「決まった会社で、とりあえず何年かは頑張る」「目の前の仕事に黙って取り組む」みたいな感覚があったように思う。

岩瀬 ですよね。でも、最近の若い人と話していると、「将来は起業したい。だから、まずはここで働いて、その後にこういう会社で働いて、その次に起業を考えている」とか、平然と口にするんですよね。で、こういう発言って、会社に対してものすごく失礼だと、僕は思う。なぜなら、仕事は恋愛や結婚に似たところがあるから。ちょっとしたフィーリングでその後の展開が大きく変わることもあるし、一生一緒にいたいと思っていたけどそうならないこともある。

 この文脈でいうなら、先ほどの「起業したい」発言なんて、「将来、すごく素敵な人と結婚したいから、まずここでお試し的な修業をします。よりよい結婚をするためにアナタと付き合います。数年したら、ほかの相手に行きますけど」と言っているも同然。そういう打算ばかりでは、人生なんて歩んでいけないと思うんですよ。5年後、10年後のことなんて、誰にもわからないわけですから。

成り行きを大切に

中川 成り行きですもんね、人生なんて。

岩瀬 そう。結局、成り行きなので、あんまり打算にとらわれず、その瞬間、瞬間で、いちばん良いと思うこと、正しいと思えることを一生懸命やればいいんだと思うんです。今回の本にも書きましたけど、人生なんて努力と運で、いかようにも変化していきますから。

中川 あと、出会う人でしょうね。

岩瀬 そうですね。で、どんな人に出会えるかも、努力と運が関わってくる。ただ待っているだけでは運は引き寄せられないから、人と積極的に会ったり、臆することなく行動したり、という努力も必要でしょう。

中川 岩瀬さんも、行動した結果、運を引き寄せて、今に至るワケですよね。例えば、別のコンサル会社に転職したり、コンサルとして独立したりするような選択肢もあったところ、運とか人との巡り合わせで、新しいネット生命保険の会社をつくることになった。

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BusinessJournal編集部

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