出会いと別れの季節、春。環境や人間関係の変化に忙しい人も多いのではないでしょうか。4月からの新しい環境は、自分の目標としていた進路に近いものですか?
そうだった人も、そうでない人も、新しい年度はこれからの“キャリア・アップ”について考える良い機会です。
『行動する勇気』(杉山大輔/著、フォレスト出版/刊)は、数々のベンチャー企業を経営し、30代の若さで元ソニーCEOの出井伸之氏に認められ、クオンタムリープの社長も勤めた杉山さんが著した、「本当に自分が好きなことで生きていく」ための処方箋です。
ビジネスだけでなく、子どものための英会話教室、著名人へのインタビュー企画、通訳など様々な活動を続けている杉山さん。「好きなことで生きていく」をモットーにして生きる彼の秘密を、「キャリア・アップのための11の習慣」(第5章)の中からご紹介します。
■ゴールは「1歩先に設定」する
なぜか、就活の最終選考で漏れてしまう。なぜか、ライバルにいつも僅差で負けてしまう。うまく行きそうだった契約が、土壇場で成立しない……なぜか、いつもちょっとだけ「惜しい」。
思い当たるようであれば、「本来のゴールの“一歩先”を自分のゴールに設定する」という習慣をつけてみましょう。100m走だったら、100mではなく、101mをゴール地点と考えて走る。保険の契約を取るのが仕事なら、契約締結時ではなく、入金をゴール地点と考えるということです。
ポイントは、「本来のゴールで気を抜かない」こと。人は、スタートラインに立ったとき、誰もが緊張します。しかし、たいていの人はゴールが見えてくると「やった! 後もう少しでゴールだ」と気を緩めてしまいます。すると、失速したり、つまずいたりして、結局競争に勝てないのです。逆にいえば、周囲が気を抜いているときに緊張感をキープできれば、勝つことができますし、失敗せずに目標を達成できます。
ゴールの設定に関して、水泳の北島康介選手も、「プールの壁へのタッチではなく、壁にタッチして“振り返ってタイムを示す掲示板を見たとき”をゴールと考えていた」と言っています。その結果、北京オリンピックでは見事金メダルを獲得していましたね。
ゴールの設定を見直すことで、勝利が入るのです。
■オリジナリティは“基礎ありき”
iPhoneがそれまでにない個性的なものだったからこそ多くの人の心を掴んだように、オリジナリティは、あらゆるビジネスで重視されます。自分で会社を経営しているなら言うまでもなく、既存の大企業であっても、自分にしかできない価値を持つことで人の心を掴むことができます。しかし、基礎工事がしっかりしていなければ、すぐに倒壊してしまいます。では、どのように基礎とオリジナリティの関係を作っていくのでしょうか。
杉山さんは、剣道の「守」(指導者の教えを守る)、「破」(指導者の教えを守りながら、自分なりの方法を作っていく)、「離」(指導者から離れ、自分の道を究めていく)の3つの段階が重要だといいます。基本をしっかり押さえた上での「自己流」こそが、真のパワーを持つのです。自分じゃなければできないことをやる、自分のやりたいことをやる……。人の真似をして基礎を学ぶことを経てはじめて、自分らしさを追求することが出来ます。