オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(以下、TDR)。TDRを構成するレジャー施設のひとつ、東京ディズニーランドの混雑ぶりについては、3月19日付当サイト記事『ディズニーR崩壊寸前?異常な混雑で長い行列だらけ 飲食店は険悪、泣き出す子供…』で紹介したが、もうひとつの施設である東京ディズニーシー(以下、TDS)も同様に行列、また行列が常態化している。
筆者も初夏の暑さとなった3月中旬に取材に訪れたが、「学生限定 春のキャンパスデー」と銘打ったキャンペーンの影響もあって学生グループが多く、どのアトラクションも2~3時間待ちの行列が広がっている。
その中で今回、注目したいのは、「ロストリバーデルタ」エリアのハンガーステージで行われているショー「ミスティックリズム」だ。このショーは、2001年のTDSグランドオープン当初から公演されている。
ジャングルを舞台に「水」「土」「火」をテーマにダンサーが蝶や鳥、精霊などに扮して、ダンスを披露する。このショーでは炎や水などの特殊効果がふんだんに使われており、最前列付近は水や煙に巻きまれるなど、臨場感もたっぷりだ。
ただし、キャラクターは一切出てこない。その代わりにミュージシャンによる生バンド演奏と、20人を超えるダンサーたちの体を張ったパフォーマンスに引き込まれる、どちらかといえば大人向けのショーだ。「海」をテーマにした、世界唯一のディズニーテーマパークとして、お酒も飲める大人向けのコンセプトを設定したTDSの象徴的な名物アトラクションの1つとなっている。
取材に訪れたこの日も満員で、ダンサーたちがステージの水に飛び込む様を見て、悲鳴を上げる外国人グループなども多い。日本の高いショーレベルをアジアに伝える一面もありそうだ。
名物アトラクションもリストラ対象に
しかし、このTDSの名物アトラクションが4月5日で終了するという。ゲスト(観客)もたくさん入っているのに、いったいなぜなのだろうか?
キャスト(従業員)の労働環境の改善を要望するオリエンタルランド・ユニオン(以下、ユニオン)は、その背景を次のように語る。
「オリエンタルランドは、利益を最大化しようとTDRの人件費をギリギリまで圧縮しています。このため、パフォーマーが多数登場するようなショーは人件費コストが大きいため閉鎖の対象になっているのです。これまでも、次々とコスト削減を重ねてきましたが、最近では、『リニューアル』と称してリストラを図っているのです。今回のミスティックリズムの終了も、以前はパフォーマーがもっとたくさん出演していた華々しいショーでしたが、少しずつ人数を減らしてきました。今では残った出演者に負担を押し付け、ギリギリの人数で回してきたのです。16年度からは、プロジェクションマッピングを駆使した新エンターテインメントが導入されることになるといい、パフォーマーは最小限もしくはゼロになりかねないのです」